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世間様はそりゃもう、梅ガム問題で過疎ってますが。
我がギルドも例外にもれず過疎ってますが。
が、全く関係のない自分が居たりします、ハイ。
だって元々期待とかしてませんもの。………古参が故の慣れって怖い。


*****

Act 6 「質疑応答(あの子は何処?)」


………で、扉を蹴破って部屋に入った山子だったが。

「………アレ?」
「ゃ、やまちゃ?」
「………盛大に吹っ飛ばしてくれたねぇ………。
あーもう、こりゃグラ君巻き込んで日曜大工かな………。」

「………今なんか、すっごい不吉な台詞が聞こえたような………。」

そこに居たのは、椅子に腰掛けている輝二と。
そして、自然な姿で謳っていた二ィルだった。

「あー………えっと、にぃるちゃん?」
「な、なぁに、ゃまちゃ?」
「えっとね、何て言うか………。
『1人だけ助けてやったんだから、その可愛い声で謳いな!』
『ゃだゃだっ、ボク謳わないもん!』
………みたいなこと、なかったり………しない?」
「………ボク、そんなことされたら絶対謳わない。」
「そして自分はそんなこと言わん。」
「………で、デスヨネー。」

………ようやく、自分の妄想想像が有り得ないものだと悟った山子であった。

「………しっかし、まさか中断になるとはねぇ。」
「?ちゅーだん………?」
「あっ………!ま、待ってこーちゃん!もう一回、謳うからっ!」
「ねぇ、ちゅーだんてn「ああ、謳わなくてもいいよ。教えてあげるから。」
「えとさ、あ「………ぇ、ホント?」
「………おーい、魔王様&ニルちゃんー。詳しい説明してくれ。
つーか、してくれないとねぇちゃんが戻ってこない………。」

え?

ふと山子の方を見ると、隅っこの方に座って床に“の”の字を書いていじけてた。
そして「どうせ山子なんて………。どうせ妄想癖あるもん………。」とか呟いてる。
………何となく、その背中を蹴り飛ばしたい気分になるのは何故だろう。

「ぇ、えっとねゃまちゃ!
ボクが謳ったら、みぃちゃんの今の居場所教えてくれるって言うから………!
で、その後ゃまちゃ達も牢から出してくれるって約束してくれて………!」

「………え?じゃあにぃるちゃんが謳ってたの、山子の為………?」
「いやねぇちゃん、流石にそれは誇大解釈………。」
「うわあぁぁにぃるちゃああああぁんん!!大好き!愛してる!」
「………全く聞いてないねぇ。うん、大変だのグラ君。」
「………魔王様のお言葉が身に染みます………。」

感涙しつつ二ィルに愛を叫ぶ山子と、それを乾いた目で見守る輝二とグライヴ。
………ちなみに二ィルは、多少ひいてる。うん、それが正しい反応だ。

「てゆーかわたしもみぃちゃんの居場所知りたいんだった!
じゃあこーちゃん、早速みぃちゃんの居場所教えて!」

「………自分が約束したのは、山子じゃなくてにーるちゃんなんだけど。」
「どっち道わたしも知ることになるから、のーぷろぐれむ!」
「そういう問題じゃない。」
「じゃあどういう問題?」
「気分的な問題。だって、詩と言う対価を支払ったのはにーるちゃん。
ならばその報酬を受け取るべきは、当然にーるちゃんであるべきでしょ?」

「む、言われてみれば正論………。
………ん?ってことは、対価さえあれば、わたしにも教えてくれるの?」

「そりゃあ勿論。」
「じゃあ、にぃちゃんあげる。
だからにぃるちゃんと一緒に、わたしにもみぃちゃんの居場所教えて。」

………はい?

………今、この外道勇者、なんと言った?

「あー、えと、ねぇちゃん?聞き違いだと思いたいんだが………。
………今、ねぇちゃん………俺のこと、売るような発言しなかったか?」

うん言った!
「…………………。」
「…………………。」
「…………………。」

………沈黙が、魔王の私室を支配した。

「………グラ君、悪いことは言わん。―――友達は選べ。
「………ええ。全くですね魔王様。
今オレ、何でねぇちゃんと知り合いになったのか記憶を辿りましたよ。」

「姫の酒場で知り合ったんだろー。」
「………ああ、そうだった。うん、ソウダッタヨ………。」
「ぐ、グラくんしっかりっ!?」

フラッとよろめいたグライヴと、それを支える二ィル。
そしてそれを見た山子は言う。「にぃちゃん、にぃるちゃんから離れろ!」と。
………グライヴが「ねぇちゃんがマジで憎い………。」と思ったのは、仕方があるまい。

「………まぁ何だ。山子の人となりは、よーく分かった。
いいよ、その条件飲んであげる。どの道、グラ君は此処に居て貰う訳だし。」

「ぇちょ、魔王様!?」
「やった!で、みぃちゃんは何処に!?」
「ぃ、ぃぃのかな………?
「良くない。果てしなく良くない。
が、どの道グラ君は此処から出て貰うわけには行かないしね。」

「………あーもういいよ。働けばいいんだろ、働けば。」
「まさしく。………さて、そんなわけで。
にーるちゃん、山子。みぃちゃんの現在の居場所を教えるね。」


色々と諦めて部屋の隅っこに座ったグライブは、とりあえずこの際無視しておく。
そして少し間を置いて、2人に告げた。

「元々みぃちゃんことmishiaは、一箇所には留まらない。
但し今現在は武器の製作やら改造の為―――中立地帯、バンホールに居る。」

「バンホール………。」
「そこに、みぃちゃんが居る………。」

―――この瞬間、2人の行き先は決定した。
次の目的地は、中立地帯 バンホール。




Next Story...Act 7 「犠牲を払う旅」


×××××

NGコーナー その2
(※話に入りきらなかったネタの残骸)


「………ってか、さり気なくスルーしちゃったけどさ。」
「?なぁに、ゃまちゃ。」
「にぃるちゃんも、みぃちゃんの居場所知りたかったんだね。」
「えっ!?ぁ、ぅん………。」
「同じように魔王のとこ行って、同じようにみぃちゃんの居場所を聞く………。
………ハッ!?もしかしてわたしたち、赤い糸でつながってる!?」

ねぇよ。ないから。
「………深く聞かれなくて良かった、って思うべきなのかな………。」
「ほへ?なんか言った?」
「ぇ、ぅうん!なんでもないよ、ゃまちゃ!」
「?ならいいけど………。」


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*****

Act 5 「幽けき深淵の底」


………で、地下牢に入れられた山子とグライヴであったが。

「さて、にぃちゃん。早速だけど脱獄すっぞ!」
「………うん、言うと思った。で、一応聞くけどどうやって?」
「力ずく。」
「………ですよねー。」

が、約1名………この場合は2人共、にしておくが。
2人共、大人しく捕まっていられるような殊勝な人間ではなかった。

「でもな、ねぇちゃん。期待を砕くようで悪いけど、はっきり言うぞ?」
「なんだよ、にぃちゃん。」
「この牢な、魔王様の特別製。ありとあらゆる攻撃が無効化される。」
「………ってことは、スキルとか全部ムダ?」
「そう。単なるマナやスタミナの無駄遣い。」
「………なんで牢屋に、そんなムダなまでの能力ついてんの。」
「ああ、此処ってオレ専用の独房だから。」
「………ごめんにぃちゃん、それツッコむとこだよな?

ツッコむところです。 (by天の声)
グライヴは、毎回何をして此処に入れられているのやら。

「………とは言え、年中入ってるから抜け穴作ってあったりするんだけど。」
それを先に言っとけよ。

全くである。引っ張った割には、お約束のオチである。
そして2人はこっそりと、床に掘られた抜け穴へと潜り、牢屋を脱出する。

「………おー、中々広いな抜け穴。
てゆーか、にぃちゃん、どんだけこの牢屋入ってるのさ………。」

「週に3,4回ぐらい?」
「………いやうん、わたし何だかにぃちゃんのこと分かんなくなってきた。」
「ハハハ………。」

哀切の眼差しを送る山子であった。

「………で、にぃちゃん。これ、何処繋がってるの?」
「ん、さっきのオレの部屋。」
「ふむふむ。で、ニルちゃんは何処に?」
「何処って言われてもオレが知るわけないじゃん。
まぁでも、多分………今頃ニルちゃんと魔王様は、魔王様の私室かな。」

「こーちゃんの部屋って何処にあんの?」
「魔王様の部屋は、丁度最上階に………って、ねぇちゃん?
今、魔王様のこと“こーちゃん”て言わなかったか………?」

「え?言ったけどそれが何か?」
「………いや、うん。すげーな、ねぇちゃん………。」

一応でも勇者たる山子の手にかかれば、魔王 輝二も“こーちゃん”になるのでした。
………何だか色々と台無しである。

「………お、ホントだ。さっきのにぃちゃんの部屋だ。
で、部屋から出て最上階目指せばいいの?」

「ああ。部屋出てすぐ右手に階段がある。
で、それを上がって行けば、魔王様の私室に着く。」

「よっし。待っててにーるちゃん、今山子が助けてあげるから!!」
「………ねぇちゃんより魔王様の方が、ニルちゃんへの扱い良さそうだけど。」
「そこ、何か言っ………。………あれ?」

抜け穴を踏破し、グライヴの私室へと戻ってきた2人。
そして部屋から出ようと、扉の近くまで歩いたその時だった。

「xA ―― e―i ――― w―r――― ――haela/.」
「………歌?」
「歌、だな………。」

階上から、歌が聞こえてきた。しかも―――

「………この声、にぃるちゃんだよね?」
「ああ、ニルちゃんだな。………しかもこれ、ヒュムノスだな。」
「xA ―― ―YEuk ―― l.l.― ―― aje har――.」

歌っているのは、どうやら二ィルのようだ。………ところで。

「えーと、ひゅむのすってナニ?」
「え?ああ、ねぇちゃん知らないのか………。」

とまぁ、ある意味当然と言えば当然の質問をした。
そしてその質問を受けて、グライヴは簡単に答えた。

『ヒュムノス』とは、一種の魔法である。
ごく一部のエルフ族と、その血をひく者が紡ぐことの出来る『詩魔法』。
そしてその効果は、敵を攻撃することや傷を癒すことは無論のこと。
上位の詩になれば、大陸を紡げるとさえ言われている。

「ぶっちゃけ魔王様もその系譜だしな。
まぁ、血が薄すぎて詩の効果はほとんど出ないらしいけど。」

「へー………。でもわたし、今までひゅむのすとか知らなかったよ?」
「元々、ほとんど廃れちまった一族らしいしな。
ただ、何年だか前に“聖女”が生まれたんだと。
そのおかげで、その一族がようやく陽の目を見たんだとさ。」

「ふーん。じゃあ、にぃるちゃんはその一族ってこと?」
「謳ってるってことは、そうなんだろ。」
「花―散じ 朱に染――指― ――飾― 棘を編んで
私――― ―罪―しるし 茨の蔓の冠 戴く………」


ちょっとだけ、二ィルの詩に聞き入る山子。
が、しばらく聞いた後、ハッとした表情を浮かべてあわて出す。

「待って待って、なんでわざわざにぃるちゃんが謳ってるの!?
………ま、まさかこーちゃんが
『げっへっへ、売り飛ばされたくなかったら私の為に一生謳って貰おうか!』
って言って、
『ゃだゃだこーちゃんやめてー!』
ってにぃるちゃんが涙をいっぱい浮かべながら謳わされてるんじゃなかろうな!?
いかん、こーしちゃいられない!………にぃちゃん!」

「………女2人で片方がエルフ、そしてそのエルフは………。
そうだ、アレにはそう書いてあった………じゃあ、二ルちゃんはまさか………。」

「………おい、にぃちゃん?」
「――胸の中 溢―― 光 舞――― 祈り――は 耀う―――」
「ああ、そうだ………。それしか有り得ない………。
―――この歌声を、この俺が違えるわけが―――

に・い・ちゃ・ん!!
「おおうっ!?な、なんだよねぇちゃん、脅かすなよ!」
「ぶつぶつとなにやら呟いてる不審者なにぃちゃんが悪い!」
「不審者………。」
「まぁいい!んなことより、行くぞにぃちゃん!
このままではわたしのにぃるちゃんが、一生謳わされ続けてしまう!!」

「え?一生って………悪い、何の話?」
「(無視)さぁ行くぞ!!」

猛ダッシュだった。
………完全にグライヴのことを置き去りに、山子は部屋を飛び出していった。

「ちょっと待って、ねぇちゃーん!!」
「:/ xO rre qeiyu m.t.y.y. anw daedul.」
  (『人は生命在る限り 醜い物ばかりを産み落とす)


バタバタと、騒がしく階段を駆け上がる山子。
そしてそれを必死に追いかけるグライヴ。………うむ、微妙な光景だ。

「Naave wEsLYN ayulsa sphaela/.」
  (故に恐れや不幸の無い永遠の世界を創り上げた)

「さ、流石にノンストップで階段駆け上がるのはきつかった………。
いや、そんなことより!にぃちゃん、此処がこーちゃんの部屋だよな!?
中からにぃるちゃんの歌声聞こえるし!寧ろ違うって言ったらぶん殴る!」

「理不尽っ!?いやでも、確かにそこが魔王様の部屋だけど!」
「ならば良し!おっし………。」

階段を上りきり、最上階の部屋の扉の前で深呼吸をする山子。
………そして。

「にぃるちゃんの歌声を独り占めなんて、ずるいぞこーちゃああぁん!!
どうせだったら、わたしも混ぜてー!!

「本音でたー!?」
「xE rre vega a.u.k. ayulsa Asiance_qeiyu/:」
  (此処こそが楽園 そして人の目指すべき唯一の希望の地』)


………盛大に本音を叫びつつ、部屋の扉を蹴破った。




Next Story...Act 6 「質疑応答(あの子は何処?)」


×××××

用語解説 その1

『ヒュムノス』
PS2及び3のゲームソフト、「アルトネリコ」シリーズに出てくる。
本編中で語ったとおり、要約すれば『詩魔法』。
攻撃から治療、そして大陸の創造など、幅広いバリエーションの詩がある。
ちなみに詩は“ヒュムノス語”なるものから形成されている。
要するに、詩の中に並んでいるアルファベットの羅列は『ヒュムノス語』。
別に何処かの国の言葉、と言うわけではない。
んでもって、その羅列の下に書かれた( )の中はそれを訳したもの。

ちなみに今回、本文中に用いた曲は
「METHOD_IMPLANTA/.」(メソッド・インプランタ)
出典:アルトネリコ2、歌手:志方 あきこ

METHOD_IMPLANTA/.を聴いてみる(You tubeリンク)


*****

Act 4 「光輝放ちて(………オイ。)」


さて。前回、何だかちょっとヤバ気な終わり方をしたわけですが。
意識を取り戻した3人が目にしたのは、結構広めな良いお部屋でした。


「………どこだ、ここ。」
「あー………。一応、城の中にあるオレの部屋だ。」
「………にぃちゃん、ちょっとそこ直れ。なんか腹立つ。

訂正、結構広めな良いお部屋=グライヴの私室。
広さは大体、18畳くらいである。………広い。広すぎる。

「逃げ出すぐらいだから、どんだけ待遇悪いんだよって思ってたけどさ。
結構いい部屋じゃん、にぃちゃん。寧ろちょっと憎い。

「………まぁ確かに、部屋だけはオレ、待遇いいけどさ。
逆に言えば、いいのはそれだけだよ。それ以外の扱いなんて………。

「………グラくん………。」

落ち込むグライヴ。慰める二ィル、完全無視の山子。
………と、その時。

「それは仕方の無いことなんだって、何度も言ったよ?
だってグラ君、前世の行いが凄く悪かったんだから………って。」


!!

―――意識が落ちる直前に聞いた声だと、3人が理解した。
その中で唯一、彼だけはその声の主を知っていた。

そして声のした方―――部屋の扉が、ゆっくりと開き―――

………え?

………その先の光景に、山子と二ィルは完全に固まった。
何せ、黒髪の女性が―――サンダーを詠唱済で、杖を構えていたのだから。

「Magic:Thunder―――Full Fire!!

二ィルは射程圏外だが、山子とグライヴは完全に射程内。
問答無用でぶっ放されたサンダーは2人を直撃した。
………そしてしばらくの後、丸焦げになった人影が2人………ではなく。

「………っ。やっぱ、予想通りサンダーで来たか………!」
「………ぉい、にーちゃん………?」

丸焦げになったのは、山子だけであった。
どうやらグライヴは、間一髪でマナシールドを展開したらしい。

「おい、にぃちゃん。サンダー飛んで来るって分かってたんだよな?
そしたらそれは最初に言っておくべきじゃないのか………?

「え、あ、いや、すまんねぇちゃん。
謝るからとりあえずその幽鬼のような表情は止め………!!」

「其処に直れえええぇぇぇ!!」
「………はいそこー、人を無視してコント始めるなー。
と言うか、グラ君いじるのは自分の特権だと主張しとく。
何処の誰だか知らないけど、そう簡単には譲らんからなー。」


山子からグライヴに雷が落ちると思われたが。
先程サンダーを撃った女性が静止を居れ、間一髪助かったグライヴであった。
………と言うか、ちょっと待てよ?

「………なぁにぃちゃん。この大和撫子的美人、誰?」

此処に来てようやく、謎の女性の存在に気づいたと言わんばかりの山子。
そして恐らく正体を知っているであろうグライヴに、そう問いかけた。

「は?誰って………ああ、そっか。知らないのか………。
うん、じゃあ教えるけど。―――その人が、魔王様だよ。」

「は?」「え?」

カキーンと、音をたてて凍る山子&二ィル。
………いや待て。ちょっっっっと待て。

「な、なぁ。魔王の名前って“輝二”だよな?」
「そうだけど?」
「よ、読み方って“こうじ”だよね?」
「おう。」
………女の子だよ?
「あー、それ昔からよく言われる。
………と言うわけで、自己紹介しようか。

―――改めてまして、初めましてお二方。
自分こと輝二、魔帝国が兵の一人、“魔王”です。」


今知らされる、驚愕の真実。………絵的には微妙だが。

「まぁ、挨拶はそれくらいにして。
―――仕事放って逃げ出すなんて、覚悟は出来てるよね、グラ君?」

「いや、あの、なんと申しましょうか!
………いい加減オレ、あの仕事やめたいなーなんて思ってて………。」


目を必死に逸らすグライヴ。………さて、何があったのやら。

「ならまず、その旨をこの魔王様に伝えるのが筋ってもんでしょう。
引継ぎもなーんも無しで出て行かれても、こっちは大迷惑なんだけどなー?」

「………ソレどう考えてもにーちゃんが悪いな!
寧ろ追っかけられて当然だと思うヨ。」

「ごめんグラくん、ゃまちゃに反論できない。」
「………うぅ………。」

▼グライヴの 味方は いなくなった!(RPG風)

「まぁそういうわけだから、牢にでも入って反省してきなさい。
で、ある程度時間経ったら、またお仕事頑張ってねー。」

「うあぁぁ悪魔ー!鬼!ロクでなし!地獄に落ちろ!」
「悪魔でも鬼でもなくて魔王ですよーだ。
後、地獄に落ちるのは魔王じゃなくて大魔王の方だから。
………ってなわけで、いってらっしゃい。ポチっとな。」

………え?

輝二は、何処からともなくリモコンを取り出し。
そして迷うことなく、ポチッとボタンを押した。
―――すると、グライヴの足元の床が消えてなくなった。
勿論、そうなれば重力に従って落下するしかない。

………グライヴの近くに居た山子も一緒に落ちてるが、そこは気にしない。

「気にしろー!ってか、なんでわたしまでー!」
「こっちのエルフの子と2人で話したいから。
えーと、山子だっけ?山子が居ると、まともに会話出来そうにないし。」

「あたぼうよ!わたしのにぃるちゃんを誰にやるものか!!」
「ぇっ。ボク、ゃまちゃのものなの!?」
おう!!

………最早、何も言うまい。

この変態め。ま、兎に角邪魔だから地下牢入ってて頂戴。
話が終われば、ちゃんと出してあげるから。」

「いやああぁぁ!わたしのにぃるちゃんが奪われるー!」
「………諦めよーぜねーちゃん。
それに魔王様一応ノーマルだから、別に変なことしないって。」

「そういう問題じゃなあああぁぁ………」

………盛大に叫びつつ、地下牢へと落ちていった山子でありました。
ついでにグライヴも一緒に。

え?グライヴのついでに山子も、じゃなかったかって?
………まぁ、この場合はどっちでも良いということで。




Next Story...Act 5 「幽けき深淵の底」


×××××

NGコーナー その1
(※話に入りきらなかったネタの残骸)


地下牢に落とされた山子とグライヴを見送った輝二と二ィル。
その後の沈黙に耐えかねた二ィルが、輝二にちょっとした疑問を問うた。

「………ぁ、あの。」
「ん?どうかした?」
「グラくんが逃げたぉ仕事って、何なのかなぁって………。」
「あぁ、サンダー発電のこと?」
「………え?

その瞬間、思考が完全にフリーズしたと、後に二ィルは語る。

「マハが発展したのはいいんだけど、色々と開発が間に合わなくて。
特に電力は足りなくて足りなくて………仕方なくサンダーで代用中。
なのに、サンダー使えるヤツが居ないのなんのって………。
特に高ランクのグラ君に逃げられると、非常に困るわけだ。
まぁ、だからって扱き使いすぎたかなとは思ってるんだけどねー。」

「………グラくんが逃げた理由、ゎかった気がする。」

*****

Act 3 「街と光輝と魔王様」


さて、そんなこんなで。
無事に兵士達を振り切った3人は、イメンマハの街に辿り着いた。
辿り着いた………の、だが………。

「最悪だ………。何で戻って来る羽目に………。」
「グラくん………。え、えっとほら!これはァレだよ!
逃げ出したように見せて、実はまだ近くに隠れてました、って!
えっと………木を隠すには森の中、人を隠すなら人の中だよ!!」

「ありがとニルちゃん………。
でもねぇちゃんがオレ引きずってマハに来たの、バッチリ見られてるし………。
それを魔王に報告しない程、此処の兵士無能じゃないんだよなぁ………。」

「あわわ………!」

落ちるとこまで落ち込みまくってる人間が一人。
あ、何か負のオーラが見える。呪いに近いよーな気がするよ?
………とか何とか、二ィルが思ったかどうかはさておき。

そんな2人、特に落ち込むグライヴを意にもかけない者1人。
何やら呆然と眺めているのが………既に外道な勇者山子である。

「………なあ、にぃちゃん。」
「はああぁぁぁ………。」
「ええい鬱陶しいぞにぃちゃん。そんなことより、聞きたいことあんだけど。」
「そんなこと………。オレの切実な事情は゛そんなこと”なのか………。」
「でさ、聞いていい?………此処、ホントにマハ?」

………最早、何も言うまい。

「………あーそうだよ!此処はマハだよマハです!
我等が魔王様が統治する、『光輝都市』イメンマハですよ!」

………“光輝都市”?

『光輝都市 イメンマハ』。
これがかつてのゴーストタウンとか、過疎都市とか………。
そんな呼び方をされていた、活気に満ち溢れたこの街の今の名前である。

「………何をどうすれば、あのゴーストタウンがこーなる?」
「魔王様の政策。あの人、性格には凄まじく難があるけど………。
マハの事に関しては、他の追随を許さない程に詳しいからな。
1つ1つ細かい問題点を解決して言って………で、今のマハを形成したわけだ。」

「………おうおう、何だかすげーな魔王。
ぶっちゃけマハとか、昔以上に過疎ってると思ってたぜわたし。」

「うん、ボクもそうだと思ってた………。」

2人の言葉も、仕方あるまい。
何せ以前までのマハに人が集まると言えば、公式イベントがある時ぐらい。
それか、某鳥の袂でと名のついた演奏会とか、そんなものである。
が、今は「え、過疎ってたの?嘘でしょ?」と逆に問わんばかりの栄えっぷりだ。

「………で、にぃちゃんよ。その魔王は、やっぱ城にいるわけ?」
「え?ああ、そりゃ城にいるけど………待て、ねぇちゃん。
まさかとは思うが、魔王に会いに行くとか言わねないよな?」

「言うに決まってんぢゃん。そもそも、魔王に会いにマハ来たんだし。」
「ぇ、やまちゃも魔王に会いに来たの………?」
「ん?“も”ってことは、まさかにぃるちゃんもそーだったり?」
「うんっ。魔王に聞きたいことがあって、それで………。」
「え、マジ?わたしも魔王に聞きたいことあったんだよね!」

此処に来て、2人の目的が見事に一致していたことが判明した。
嬉しさからか、きゃいきゃいと話す2人。………で。

「………ねぇちゃん、この肩に置いた手は一体………?」
「実は私、お城の場所すっかり忘れちゃったんだよねぇ。
それに真正面から行っても、簡単には魔王になんて会えなさそうだし?」

「ハハハ、何言ってんだよねぇちゃん。
魔王様は正式な謁見手順を踏めば、誰とだって会ってくれるぜ?
寧ろ市街に年中遊びに出てきてるし、わざわざ行く必要は無………。」

「正式な謁見手順なんて踏むのめんどいし、街広いから会える確立低いよね?」
「………なぁ、ねぇちゃん。この際だから単刀直入に聞くぜ?
まさかオレを魔王様に突き出すついでに謁見するーとか、考えてないよな?」

「やだなぁにぃちゃん。道案内してもらうだけだよ!」
「いやそんな笑い勝たされても説得力ねぇからな!?
つーかお願いねぇちゃん、マジでその手離してー!!」


ぎゃあぎゃあと街中で問答を続ける2人。………うむ、浮きまくりだ。
すると成り行きを見守っていた二ィルが、何かを決意したかのような表情を見せた。
そして、ゆっくりと口を開いた。

「グラくんっ、グラくんが嫌なのは分かってるよ。でも………。
お願いっ、ボクとやまちゃをお城に連れてって!!」

「え?」
「え、にぃるちゃん………?」
「ボク、どうしてもお城に行って魔王に会わなきゃいけないの!
グラくんには絶対迷惑かけない!お城まで行ったら、後は自分で何とかする!
だからお願いッ、お城まで、連れてって………!!」


深々と頭を下げる二ィル。
………延々と言い合っていた2人も、これには吃驚である。
無言で互いの顔を見合わせているくらいだ。

「………あれ?ちょっと待てよ………?
確か“アレ”には、女2人で片方がエルフって………。」



何やら1人、ぶつぶつと呟くグライヴ。傍から見ると若干怪しい。
そしてしばらく思案した後、覚悟を決めたかのように―――

「………分かった、いいよ。
ねぇちゃんは兎も角、ニルちゃんには助けて貰った恩もあるしな。
城まで………城の内部に入る抜け道まで案内する。
た・だ・し!本っ当にそこまでだからな!道案内だけだからな!」

「!! ありがとっ、グラくん!!」
「………ほうほう。にぃちゃん、にぃるちゃんの魅力に落ちたな?」
「………何の話だよ、ねぇちゃん。」

………とりあえず、話はついたようである。
そしてグライヴが、宣言通り城の方へ案内しようとした、その時。


「―――ようやく、話が終わったみたいだね?」



―――周囲の雑音がぷつりと途絶える。
その声だけが、世界に響く。
凛としたその声は、背後から聞こえた。
故に発した主を確かめるべく、3人は後ろを振り向いて―――



全てを焼き尽くすかのような、神々しいまでの光輝を見た。
―――そして、暗転。




Next Story...Act 4 「光輝放ちて(………オイ。)」


*****

Act 2 「魔王の都(プラス賢者。)」


「ほぅほぅ。にぃるちゃんは、ヒルマスを目指してるのね。」
「うんっ。まぁ、弓と一緒にやってるから、あんまり上手じゃないんだケドね。」
「いやいや、今時ヒールやるなんて感心歓心!!
何せ今や、昔以上にマゾ寧ろドMスキルと言われてるくらいだしね!」

「………ゃまちゃ………。」

それはフォローになってない。と、二ィルが思ったかどうかはさておき。
さて、今の現在位置はオスナサイルを抜けてマハ領内。
とは言え街はまだ遠いので、街を目指して歩いているのだが………。

「あ、また居る。にぃるちゃん、隠れて。」
「ほぇ………。また居るの?」
「ウン。………全く、何で郊外に兵士がいっぱい居るんだか………。」

郊外であるにも関わらず、何故か魔帝国の兵士達が居た。
それも、10や20ではきかない人数が。
その理由はサッパリ分からないが、恐らく見つかったら面倒なことになるだろう。
そう判断した二人は街道を避けて、雑木林を進んでいた。

「………よし、行ったな。」
「ふー………。でもどうして、あんなにいっぱい居るのかな………?」
「さぁ?兎に角、見つからない内にとっとと行k………。」
「………?どしたの、ゃまちゃ………あ゛。」

一歩踏み出した山子が何やら止まった。
はてな?と思った二ィルが山子の方を見てみると………。

………人が倒れてた。と言うか、山子が踏んでた。

「………。」
「………。」
「………。」
「………。」
「………よし、行こうか。」
「えぇ!?ちょ、やまちゃ!?」

そして我等が(一応)勇者山子は、それを見なかったことにした。





間。





「………ったく。行き倒れてる人間踏むなよな、ねぇちゃん。」
「行き倒れてるにぃちゃんが悪いんだろー。」
「コラゃまちゃ!病人にそーゆーこと言わないの!」

結局山子は、倒れていた人―――グライヴを助けた。
と言うか、ぶっちゃけ助けたのはニルちゃんである。流石はヒーラー。

そして問題はココからである。
うつ伏せで倒れていた挙句、山子に踏まれていた彼を起こしたまでは良い。
が、そこで山子は気づいてしまったのだ。「あ、この行き倒れ知ってるわ」と。
まぁ要するにこの2人、旧知の仲である。
後日聞いたところ、とある酒場での飲み仲間だったとか何とか。
………まぁ、あくまでも簡潔に述べると、だが。

「………はい、これで治療はおしまい。痛いとこない?」
「とりあえず大丈夫。ありがとう、おかげで助かった。」
「はいはい、治療終わったらにぃるちゃんから離れる離れろー!」

ヒーラーとしてグライヴの近くに居た二ィルを引き剥がす山子。
………おーい。嫉妬は見苦しいぞー、山子。

「んなことよりにぃちゃん。何でこんなとこで行き倒れてるのさ。
しかも怪我じゃなくて疲労による体力不足で倒れてるとか、何やってんの。」

「あー………。黙秘権の行使とかは無し?」
「んなもん無い。第一、誰が行き倒れてるところを助けてやったと思ってんの。」

二ィルである。断じて山子ではない。
寧ろ山子は見なかったことにしようとしていたぞ?

まぁ、そこはツッコんでも無駄と悟っているグライヴ。スルーした。英断である。

「………おーけー。でも、あんま楽しい話でもないからな?
要約すると、オレはマハから………魔王城から逃げてきたんだよ。」

「逃げて………ってちょっと待てぃ。
ってことは、さっきからちらほら見かける兵士は、にぃちゃん追っかけてるのか。」

「あーうん、そーなる。」
「………にぃちゃん、一体何したんだ。魔王でも怒らせたのか?」
「や、そーいうわけじゃないんだが………。」

グライヴが、そりゃあもう深いふかーいため息をついたその時。

「いたぞー!!」

!?

―――魔帝国の兵士達に、見つかった。

「げ、にぃちゃんと一緒に居ると捕まりそうだなこの状況!
あーもう、しゃーない!にぃちゃん、マハの街どっち!?」

「え?ああ、向こうに見える池に沿って歩いて………。」
「そんな説明じゃワカラン!!」
何で!?

全くである。寧ろ、まだ道順の説明は終わってないと言うのに。

「ええいめんどくさい!一緒にマハまで来いにぃちゃん!」
「へ?いやちょっと待って、ねぇちゃん。
何でわざわざ逃げてきたマハにとんぼ返りしないといけな………。」

「行くぞにぃるちゃん!魔王のお膝元へ!!」
「ぅ、うんっ………?」
「ちょ、まっ、頼むから離してくれー!?

………とまぁ、そんなわけで。
3人揃って………と言うと、盛大に間違いが含まれているのだが。
だがとりあえず、3人揃ってその場を離脱した。

―――目指すは、イメンマハ。




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