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Act 15 「大魔王、来たりて。」
絶世の美悪女こと、魔帝国が女帝 大魔王きゃを。
ぶっちゃけて言えば、ラスボスである。そのラスボスが、何故此処に―――?
「あー………。何、入れ違い?」
そんな大魔王は平然と、村人の一人に話しかけたかと思えば。
一言二言、簡単な言葉を交わした後にそう呟いた。
「まぁいいか。居るって聞いたから来ただけだし。」
………どうやら大魔王は、ここにいたmishiaに会いに来たらしい。
しかしご存知のとおり、mishiaは既にバンホから去ってしまっている。
「仕方ない。マハでも行ってこーちゃんにでも会いに………ん?」
と、次の瞬間。
山子と二ィルは、大魔王こときゃをと目が合った。
………そうしてきゃをはニッコリと笑い、つかつかと2人のもとへ歩み寄ってきた。
「………へー。今代の勇者サマか。」
「へ?山子?」
「他にだれもいないよ。………ああ、証の剣もあるんだ。
ふーん………。なるほどなー、今後に期待かな。」
そして一通り山子をしげしげと見回した後、今度は二ィルの方を向き。
「ほ、ほぇ………?」
「………本物の澪、か。それにしちゃ普通のエルフっぽいけど………。
………うん。うちのみしあの方が何倍も可愛いな!」
その瞬間、空気が凍った。
「さて、ここにはもう用ないし、マハ行くか。」
「ちょ………。」
「ん?」
くるりと向きを変え、バンホから出て行こうとするきゃを。
その後姿に、山子は………。
「ちょっと待たんかー!!」
山子は吼えた。そりゃあもう盛大に。
「確かにみしあちゃんはすごく可愛かったともさ!
だがな、だけどな!?ハッキリと言わせてもらうぞ!?」
「ゃ、ゃまちゃ………?」
そして、山子は大きく息を吸って、
「うちのにぃるちゃんも可愛いってのは聞き捨てならん!!
にぃるちゃんは………にぃるちゃんはな………!
みしあちゃんと同じくらい可愛いんじゃボケ―――!!」
………空気、再凍結。しかも今度は空気のみならず、周りの人間全員凍っている。
山子以外………つまり、大魔王さえもが。
「………えーと。オイラがつっこんでいいのか、今の。」
「何だ!」
「………そこはさ、“にぃるの方が可愛い”って言うところじゃないの?」
「ムリ!!どっちも可愛いから優劣つけられん!!」
「「………。」」
………もう、山子に言うことは、作者からはない。
だがしかし、一応は初対面の相手に外道っぷりを発揮するな、山子よ。
「………大変だね、にぃる。」
「………わかってくれて、ボクすっごく悲しぃょ………。」
あー、そりゃなぁ………。
そうしみじみと思ったのは、一部始終を見ていた村人たちであるとかないとか。
「………勇者ってこんなのばっかりなのか。先代と言い今代と言い………。」
「………?」
ボソリと何か呟いたきゃを。そして、大きな溜息をついたかと思えば、
「………帰る。何か疲れた………。」
と、そう言って悠然と、しかし疲労感を漂わせながらバンホを去っていった。
その後姿を見送り………しばらくしてから、二ィルはあることに気づいた。
「ぁれ?」
「ん?どうした、にぃるちゃん。」
「綾徒くんがぃなぃ………。」
「………あ、ホントだ。」
いつの間にやら、綾徒がいなくなっていた。
………きゃをに気を取られて存在を忘れていたが、一体いつの間にいなくなったのだろう。
「まぁ、しばらくしたらまたひょっこり出てくると思うよ。
………ところでさ、にぃるちゃん。」
「?なぁに、ゃまちゃ。」
「もういいの?みしあちゃんのこと………。」
綾徒のことはとりあえず、さておくとして。
大魔王が来るまで、気になっていたことを、山子は問うた。
すると二ィルは、少しだけ寂しげな表情を浮かべたが、すぐに笑顔でこう言った。
「………ぅんっ。こんなところでくじけてても、何にもならなぃから。
またみぃちゃんを探して、説得するょ!」
「そっか。………あ、じゃあまた一緒に旅できる?」
「ぅんっ、もちろん!」
そうして2人は、がしっと両手を握り合い、
「とりあえず山子、綾徒くんが言ってたシドスネッターに行くつもり。」
「ぅん、ボクも一緒に行くょ。」
「おっし、じゃあ―――」
ぐっと握りこぶしを作る山子。そして、それを空へと突き出し―――
「いざ、しゅっぱああぁぁ………つ………。」
………出発の宣言をしようとしたが、尻すぼみになってしまった。
「………。」
「………。」
「………。」
何が原因かというと、山子の目の前に出てきた人物が原因である。
「………えー、ええとー………?」
「………久しぶり、ねぇちゃん。」
それは、山子
Next Story...Act 16 「賢者再び(あ、にぃちゃん。)」
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Act 14 「天使の系譜(尊き命。)」
証の剣を引き抜き、己が『世界を救う勇者』であることを知った山子。
そのことをより詳しく知る為、シドスネッターへ向かうことにしたが………。
「………みぃちゃん………。」
「………お、おーい………?」
廃鉱からバンホに戻り、出発の支度をし始めた山子。
が、一方の二ィルはと言えば、凄まじく落ち込んでいた。
………理由は言うまでも無く、先程のmishiaとのことである。
「ダメそうだな、澪姫様。ま、気持ちは分からなくもないが。」
「………あ。そういやさ、その“澪”って何ッスか綾徒くん。
話によく出てくるけど、ぶっちゃけ山子全然わかんないんだよね。
つーか寧ろ、山子主人公なのに話に置き去り………。」
「“主人公”じゃなくて“一応主人公”だからな、諦めろ。」
「ぐはっ。………で、教えてくれるの?」
「“澪”のこと、二ィルとmishiaについてのこと………。
全部まとめて教えてもいいけど、そうだな………50k頂きます。」
「………そうだった、綾徒くんて情報屋だった。」
がっくりとうなだれる山子。
そして、提示された金額にしばし逡巡した後、
「………せめて40kで。」
「じゃ、間を取って45k。」
と、ちょっとだけ割引してもらったのだった。
そして手持ちに45kがあったので、それをサクッと支払って。
「はい、確かに。じゃ、まずは“澪”から。
―――“澪”とは、“澪の御子”。エルフ族の、いわゆる“聖女”だ。」
「………マジで?」
「マジだ。澪姫とか天使とか別の呼び方もされるが、基本は“御子”。
んでもって、その御子はフィリアを、コンヌースを救う存在とされている。」
「………救う?」
はて、と首をかしげる山子。“救う”………一体、何から?と。
「ここ十数年、コンヌースの砂漠化、かなり深刻だろ?
とりわけフィリアは、村の中心にあった泉が枯れてきている………。」
「あー。そういや、そんなことになってたっけ。」
「そう。んで、そのフィリアを救う存在が澪の御子様。
―――伝説の“緑を紡ぐ詩”たる“メタファリカ”を謳う、聖女。」
「めたふぁりか………?」
「そう。“新緑の大地”………創造詩。
実は4千年位前の過去、コンヌースは雨の降らない不毛の土地だった。
当然、緑なんてあるわけもない。
だが、時の御子がその詩を謳い、あの地域一帯に緑をもたらした。
まぁ結局、時と共にまたあんな砂漠に戻っちまったわけだが………。
ま、その辺についてはあんまり関係ない話だからおいとくぞ。
んで、その御子が“澪”と呼ばれてたから、その後の御子も“澪”と呼ばれ始めた。
ついでに初代の澪は、天使の様に慈愛に満ちてたって話だ。
だから代々、澪の血脈は天使の系譜とすら呼ばれて………って。
………おーい。大丈夫か、山子。」
「いや全然。正直、イマイチ分かりません。」
………話についていけなかった山子であった。
「だろうな。そんな山子の為に、さくっと纏めてやろう。
二ィルは“澪の御子”と呼ばれる、天使の血を受け継ぐエルフ。
メタファリカと言う詩を謳ってフィリアに緑をもたらす聖女様。OK?」
「あ、それなら分かる。………ん?ちょっと待てよ?
ってことはにぃるちゃん、超重要人物じゃねーか。
それなのに、何でこんなとこに居るの。
せめてお付の人っつーか護衛の人とか、いるもんじゃねーの?」
「そこからはまた別口。mishiaとの関係性が問題なんだ。
………実はな、当初“澪の御子”として崇められていたのはmishiaなんだよ。」
「………へ?なんで?」
「先代の澪の御子………二ィルの母親だな。
その侍女だったエルフが、自分の娘と二ィルを取り替えたんだ。
………自分も天使の系譜。故に、娘も同じ天使の系譜である。
ならば娘―――mishiaは、しかるべき教育さえ受ければ澪になれる、と。」
「………マジか。」
「おう、マジだ。」
しばし沈黙。
「とは言え、それを知るのは取り替えた本人のみだった。
mishiaは立派な御子様として育ち、二ィルはただの村娘として育った。
………そして立場も関係なく、2人は親友になった。」
「………ど、泥沼の予感。」
「はい正解。まさしく、ドロ沼になったんだなコレが。
―――2年前、澪の御子が遂にメタファリカを謳う日が訪れた。」
「………それで、どうなったの?」
「どうもこうも、失敗したんだよ。
その辺は正直詳しく知らないが………“詩に拒絶された”そうだ。」
どういうことなんだか、と呟く綾徒。
「で、まぁ当然“なんで失敗したのか”って話になるわけだ。
そこで十数年前の澪姫取り替え事件が発覚、真実が白日の下に晒された。」
「………。」
「ま、そういうわけで二人の立場は文字通りひっくり返った。
二ィルは澪として崇められ、mishiaはただの村娘に成り下がった。
………勝手な話だよな。
今まで散々mishiaに期待してたエルフ達は、彼女に見向きもしなくなった。」
「………ああ、なるほど。なんか山子分かった。
それでみしあちゃんはフィリアを出てウルラに来て、魔帝国軍に所属したと。
んでにぃるちゃんはそれが納得できず、一人で追いかけてきたわけだ。」
「ビンゴ。ま、要するにそういうわけだ。
………親友を放っておけず、何もかもを放り出して追いかけてきた。
凄い自己中だが………俺は結構好きなんだよな、そういうの。」
「にぃるちゃんはやらんぞ………?」
「そういう意味の“好き”じゃない。話の流れで分かるだろ。」
シャーと、綾徒に牙を向ける山子。
………最早、山子のこういうところに関して言うことはあるまい。
「………で、当の本人には帰らないと拒絶されたわけか。
あー、そりゃにぃるちゃんも落ち込むワケだ。」
「全くだよな………ん?」
「ゃ………ゃまちゃ、綾徒くんっ!!」
と、そこへ。話題の中心んであった二ィルが、あわてて飛び込んできた。
「どした、にぃるちゃん。」
「そ、それが………ァレ!!」
「………アレ?」
びしっ、と二ィルが指差した先には―――1人の女性。それもかなりの美女だ。
そしてその周りには、人垣が出来ている。
「………誰、アレ。」
「………だぃまぉぅさま。」
「………はい?」
わんもあぷりーず、と山子が言う。
そして二ィルはすう、と息を吸い、もう一度言った。
「だからっ、大魔王のきゃを、だよ!!
魔帝国を興した女帝―――“絶世の美悪女”こと、“大魔王 きゃを”!!」
「………え、ちょっ、マジで―――!?」
Next Story...Act 15 「大魔王、来たりて。」
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Act 13 「賢帝と暴君、証の剣」
「………いやもう、ホンット酷い目にあった………。
何コレ?何なんコレ?山子、主人公だよね?外道でも主人公だよね?」
「ご、ごめんね、ゃまちゃ………。」
mishiaがバンホから去って、早数時間。
バンホールの村はすっかり普段の落ち着きを取り戻していた。
………mishiaに競り負けた二ィルと、巻き込まれて吹っ飛んだ山子もまた。
とは言え、二ィルの方は未だに落ち込んでいるのだが………。
「てゆーか、起きた時にはもうみしあちゃんいねーとか何この展開。
そこはやっぱ主人公の山子様がみしあちゃんお持ち帰りして『完!』だろ!?」
「………………。」
「………も、もしもーし、にーるちゃーん………。」
ツッコミを入れてくれる人がいないと、山子の言動は結構アレである。
………まぁ、ツッコミを入れたとしても変わらない気がするのはさておき。
「よ、2人共。なんだかんだで派手にやってたらしいな。」
「んあ?………おう、綾徒くん。」
そんな重苦しい空気の2人の間に現れたのは、数時間前に分かれた綾徒であった。
「mishiaと派手にやりあった、って聞いたぜ。」
「やったのは山子じゃなくてにぃるちゃんだけどな………。」
「知ってる。さっき村の人たちに聞いたから。
………と、そんなことより。俺とした契約、覚えてるよな?」
そして、同じく数時間前に交わした契約のことを持ち出してくる綾徒。
「ああ、どっか行ってほしいとこがあるとかなんとか。
………おっけ、じゃあ行こう。みしあちゃん居なくなったから、もうやることないし。
ほら、にぃるちゃんも落ち込んでないで行くぞ!」
「ぇっ?ぅ、ぅん………。」
「OK,それじゃあ行こう。………と言っても、行くのはさっきの廃鉱だが。」
「は?」
………とまぁ、軽くそんなことを告げられて。
山子と二ィルは互いに疑問符を乱立させながらも、大人しく綾徒に着いて行く。
バリDの裏手から廃鉱へ潜り、そして来た道順を逆に進んで行き………。
「………ん?こっちって確か、さっき綾徒くんが行った方向?」
「そ。この先に、“証の剣”があるんだよ。」
「あかしの………つるぎ?」
そうして、先程は分かれ道で行かなかった方向へと足を向け。
――― 一番奥まで辿り着くと、そこには。
「剣が、2本………?」
そこには、2本の剣が交差して地面に刺さっていた。
………どちらも、かなりの業物のようだ。
山子には鑑定スキルなどないが、それでも見れば分かる程には。
「そう。この2本が、“証の剣”と呼ばれるモノだ。
―――名は『碧の賢帝』、そして『紅の暴君』と。」
「………しゃるとす、きるすれす………?」
『碧の賢帝』―――シャルトス。
『紅の暴君』―――キルスレス。
山子はその名を耳にして、言いも知れぬ“懐かしさ”を感じた。
そうして、フラリとその手を剣に伸ばして―――
「―――その剣を、抜いてくれ。それが証明になる。」
「………うりゃあああ!」
―――剣を、引き抜いた!
「やっぱりか………。分かっちゃいたが、お前が本当にそうだったんだな。」
「へ………?いやあの、“そうだった”って………?」
「簡単な話さ。さっきから言ってるように、この剣は“証の剣”。
―――“勇み世を救う者”、即ちこの世界を救う勇者にしか抜剣できないモノだ。」
「………はい?世界を救う勇者とか、何デスカそれ。
山子、外道なら兎も角、そんな王道主人公になった覚えはないよ?」
「実を言うと、俺も正直詳しくは知らないんだなコレが。
ただ、1000年に一度現れて、人々の平和を護る存在………とか何とか。
………詳しいことが知りたいなら、ウルラの最果てに行くといい。」
「ウルラの最果てって、シドスネッター………?」
「ああ。………そこで、全てが分かるだろう。」
―――そうして山子の中で、次の目的地が決定された。
目的地、シドスネッター。
ウルラの最果てにして、雪深き閉鎖された土地―――
Next Story...Act 14 「天使の系譜(尊き命。)」
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用語解説 その3
『碧の賢帝(シャルトス)』と『紅の暴君(キルスレス)』。
出典はサモンナイト3。分かりやすく言うと、「魔剣」の類である。
スキルは「抜剣覚醒」=「デッドアンドリバース」。
要するに戦闘不能になった瞬間、体力MAX+強化付きで復活するスキル。
但し、ゲームのストーリー前半にこの「抜剣覚醒」を使用すると、
カルマ値=バッドエンドフラグのポイントに+3加算される。
無論、溜まればエンディングがどうなるかは言うまでも無い。
尚、この設定をRPGで使用する可能性も有るので、山子は要注意のこと。
「え、マジで?」
マジです。
*****
Act 12 「2人の少女(因果を謳う。)」
2人のエルフの少女が、バンホールで対峙する。
しばらく2人は見つめ合い―――そして、mishiaが先に口を開いた。
「………何でこんなとこにいるの?にーる。
にーるは“澪”なんだから、フィリアに居るべきでしょ?」
「そ、それは………。ぅぅん、そぅじゃなぃ!
ボクは、みぃちゃんを迎えに来たの!一緒に………一緒に、フィリアに帰ろう!」
「なっ………。にーる、それ本気で言ってるの!?」
「勿論だょ!ボクはその為に、ウルラに来たんだから!」
「あ………。」
目を見開き、何かを言いたげに口をぱくぱくと開閉するmishia。
だが、しばらくの後には皮肉っぽい表情を作り、
「あ………あっきれた!にーるって、ホントバカだよね!
みぃがフィリアに帰る?そんなの、できるわけないでしょ!」
「で、でもボクはみぃちゃんが居なぃと嫌なの!
みぃちゃんが居ないフィリアなんて、ボク、救わないから!」
「そ、そこまで言うのっ?………まぁ、そういうことなら………いやいや!
もう決めたの!みぃは絶対、あんなとこには帰らない!
だからにーるは大人しく、フィリアに帰って謳えばいいの!
みぃは魔帝国の小悪魔。この世界を変える、新しい御子になるんだから!」
「みぃちゃんっ………!」
―――話の内容から察するに、二ィルはmishiaをフィリアに連れて帰りたいらしい。
しかしそのmishiaの方はと言えば、全く帰る気は無さそうだ。
「………とりあえず、誰か山子にも分かるように説明ぷりーず………。」
………が、その辺りのことをよく分かってない外道勇者が一人。
しかし今のところ彼女の出番は全く無い為、今は放っておくことにする。
「なら………!なら、力ずくでも、ボクはみぃちゃんを連れて帰る!!」
「なっ………!」
「みぃちゃんが決めたよぅに、ボクも決めてるの!
フィリアに帰る時は、みぃちゃんも一緒って。そうじゃなきゃ、帰らないって!!
jYEzEtYA...
(実行します)
lAnEcEaA wAwYAjEnYEc syec sphilar...
(繋がって、共鳴して、心の奥深くまで)
cEzE yor li yanje!
(貴方の変化こそ永遠に!)」
「………!本気、なんだ………!」
詩を謳い始める二ィルを見て、その本気の度合いを認識したmishia。
そうして、目を瞑り………しばらくの後、その瞳を開いて。
「でも、みぃだって生半可な気持ちで魔帝国に居るわけじゃない!
だってもう………みぃには、フィリアに居場所なんて無いんだから!!
tYErEmN...
(実現して)
lYAnYEcYEaA wYAwLYAjYEnLYEc ar ciel,ar, ciel,omnis.
(繋がって、共鳴して、世界を、世界を、全てを)
hYEmEmArYE... et!
(謳って… 大きく!)」
そうしてmishiaも、同じように詩を謳いだす。
その詩は、二ィルと全く同じ旋律だけれども………所々が、違う。
「紅い血滾り こころ焦がす焔気の 唇の雫掬い取り 魂溶け結う為に」
「紅い血滾り こころ焦がす焔気の 唇の雫掬い取り 魂溶け結う為に」
「日の光降り注ぐ 空を翔けよ 共に 愛の 比翼を羽ばたかせ」
「Ah- 月の輝石の 海よ 艫に 波を奏で 帆を羽ばたかせ」
天上を駆け舞う、絆の旋律………それは―――!
「耀ける受胎の子を結ふ 血潮の讃歌」
「耀ける受胎の 母と 血潮の讃歌」
「Ah-囁き重ね織りなす和 一つの宇宙観になる」
「Ah-囁き重ね織りなす君と とつの宇宙観になる」
「深く絡む糸は 忘れ難き ヒトの詩」
「深く絡む遺伝子は Ah-絆の ヒトの詩」
「「Wee yea ra hymme spiritum...
(魂を謳います………)」」
―――詩が終わった、次の瞬間。
「わっ………!」
「くっ………!」
「ぎゃー!?」
互いに共鳴するかのように詩はぶつかり合い、弾ける。
それは先程、mishiaが為した以上の効果を生んだ。
「………や、山子一応主人公なのに………がくり。」
で、その被害に思いっきりあったのが、出番の全く無い我等が一応主人公の山子。
丸こげにこそならなかったが、ものの見事に吹っ飛ばされたのでありました。
―――そして、その効果を作りだした張本人たちはと言えば。
「ぅ、ぅぅっ………!」
「………み、みぃの勝ちだよ………っ!
そりゃそうだよね、だってにーるの詩なんて、所詮は付け焼刃だもん!」
―――同じ詩を謳ったにも関わらず、二ィルはmishiaの詩に押し負けた。
それは即ち、勝者と敗者を分ける事象に他ならない。
「………ま、待ってみぃちゃ………!」
「………~~~っ!し………しつこいよ、にーる!」
だがそれでも。
二ィルは地べたに這い蹲りながら、mishiaを引き止めようとする。
「こ、これに懲りたら、フィリアに帰って“新緑の大地”を創ったら!?
どうせにーるが出来ることなんて、それしかないんだからっ………!」
「あっ………!」
―――そうして。
mishiaは二ィルを振り切って、バンホから去って行った。
「みぃ、ちゃん………。みぃちゃんっ………!」
―――二ィルの悲痛な叫びは、mishiaには届かない。
Next Story...Act 13 「賢帝と暴君、証の剣」
×××××
今回、本文中に用いた曲
「謳う丘~Harmonics FRELIA~」(うたうおか ハーモニクス・フレリア)
出典:アルトネリコ2、歌手:志方 あきこ
謳う丘~Harmonics FRELIA~を聴いてみる(You Tube リンク)
復活しました。新PCが前と比較できない程ハイスペックです。
………むしろ処理速度が速すぎて逆についていけん………。
*****
Act 11 「目的達成………したらダメ?」
ダメです。(キッパリ)
………いかん、タイトルに突っ込んでしまった。反省反省………。
「ま、まってにぃるちゃ………ん?」
「………。」
ようやく二ィルに追い着いた山子が見たのは、一人の少女が謳う姿。
………そしてその姿を見た瞬間、頭の中で花が咲いた。
「………み、みしあちゃんだ………。」
「Rrha ki ra biron wael wasaa
(喜びの祭は続きます)
Rrha kira chs hymmnos mea
(私は謳になります)」
―――遠くもない昔、酒場で見た手配写真に写ったその姿。
それが今、目の前に、本物が居る。
しかも詩を謳うという、ある種の神聖な姿で。
「いざ、みしあちゃんげっとの旅に!!」
「………って、ダメゃまちゃー!」
「って、のぉーっ!?」
飛び出そうとする山子を止める為、腕を掴む二ィル。
すると当然の如く、山子は止まるが………勢いあまって、後ろに倒れた。
………あ、こりゃ頭打ったな。あー、痛そう。
「あだだだ………。」
「ご、ごめんなさぃゃまちゃ。まさか転ぶとは思わなくて………。
で、でもでも!今出て行っちゃダメなの!
今出て行ったら、100%間違ぃなく巻き込まれちゃぅ!」
「まきこまれる………?」
「う、うん。」
と、その時。
「Rrha kira enne sos yor
(貴方のために祈ります)
Was yea ra chs hymmnos,la glasden yehah
(謳になる、それこそが私の最高の幸せ!)
Rrha ki ra parge_HYMMNOS/1x01 anw SOL=MARTA>A2.」
詩が終わり、―――世界が爆ぜた。
「………あ、アレ何ッスかにぃるさんや。」
「………“ソルフェージュ”。分かりやすく言うと、“神降ろし”の詩。
神様………ようするに強い力を瞬間的に身に宿して、全部どーん!てするの。」
「おおう………。」
二ィルの説明を聞き、そして再びmishiaの方を見る山子。
………mishiaを取り囲んでいた数名は、ものの見事に吹っ飛んでいる。
先程、二ィルに止められずに飛び出していたら………自分もその仲間入りをしていた。
「………ぐ、ぐっじょぶにぃるちゃん。
山子、丸焦げぶっ飛び人間にならなくてすっごく嬉しいぜ………。」
「………うん、分かってくれてボクも嬉しい。」
しみじみと、何だかホロリときそうな雰囲気で話す2人。
そしてそんな2人の存在を知らない、詩を紡いだ少女が―――
「………中立地帯で戦いを挑んで来るなんて………。
下っ端のしでかした罪を被るのは、上に立つ人達だって分かってないのかなー?」
………と、すがすがしいまでの笑顔でそう言い放った。
「うわああぁあ、やべぇみしあちゃんカッコええ………!」
「………ゃまちゃ………。」
で、それを聞いた2人………と言うか、山子の反応はこんな感じ。
「さってと!予定より遅くなっちゃった。
早くマハ行って、こーちゃんに例の話がどうなったのか聞かなきゃなー。」
「あっ………!」
mishiaの台詞にシビれて余韻に浸っている山子はこの際気にしないことにして。
バンホから立ち去ろうとしたmishiaを、二ィルは引き止めようとした。
―――でも、と。
引き止めようとして、二ィルは立ち止まった。
一体どうすればいいんだろう。………その名を呼ぶだけでは、立ち止まってはくれない。
ならば、己に出来ることは―――
「――――――ぅん、これしかなぃょね。
xA rre exali sarr wLYErm anw sphaela/.
(眩しい陽光が世界を覆い満たした)
xA sorr aLYEuk zess l.l.n. anw aje harphe/.
(瑞々しき朝の訪れを祝福するかの様に)
xA sorr aLYEuk zess y.y. Ahiew_ayulsa/.
(長く凝った悲しみを癒すかの様に)」
「!」
「ほぇ、にぃるちゃん………?」
静寂に包まれたバンホールに、二ィルの歌声が響き渡る。
そうして二ィルは、謳いながらmishiaの前へと出て行き。
「………にーるっ………!」
「Xu rre rhaplanca hLYEmYAmArU enw raklya en yLYEzAtU,
(千と一つの身に贖罪と希望を託し)
jLYEwAdejuy an arhou tes 1001 Impanta/.
(ラブランカは謳い願う その涙溢るるままに)
………。
………みぃ、ちゃん。久しぶり、だね………。」
「………まさか、こんなところで会うとは思わなかったけど、ね。」
―――そして、2人の少女は遂に対峙した。
どうやら初対面ではなく、再会であるようだが………。
………この再会は、一体何をもたらすのだろうか。
「………てゆーか、山子置いてけぼり………。」
………そして、すっかり蚊帳の外の“一応”勇者の目的もどーなることやら。
Next Story...Act 12 「2人の少女(因果を謳う。)」
×××××
今回、本文中に用いた曲
「EXEC_SOL=FAGE/.」(エグゼグ・ソルフェージュ)
出典:アルトネリコ2、歌手:霜月 はるか
「METHOD_IMPLANTA/.」(メソッド・インプランタ)
出典:アルトネリコ2、歌手:志方 あきこ
尚、ソルフェージュの最後の歌詞に訳がついてないのは意図的に、です。
ゲームにしか関係のない言葉なので、RPGには必要ないかと。
………まぁ、それ言ったら基本的には全面的にアウトなんですが(←
でも一応書いておきます。最後のヒュムノスの訳は以下の通り。
「Rrha ki ra parge_HYMMNOS/1x01 anw SOL=MARTA>A2.」
(ヒュムノスをソルマルタ経由 アルファ二号体(フレリア)から切り離します)