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*****

Act 22 「勇者VS戦士」


「かくして、準決勝戦に勝利したのは山子であった。
敗北したラドは泣く泣くにーるを諦め、フィリアへ帰っていったのであった。
そしてラドを下し、トーナメントの覇者となった山子は借金を全額返済した。
その後大魔王の軍勢を破り、みしあちゃんとにーるちゃんを嫁にして幸せに暮らしました。
めでたし、めでたし!」


完!

いや、それは……。
「えっダメ?」
「普通に考えて駄目だろ。つーか、そんな妄想が出来るねぇちゃんが凄いよ。」

勿論言うまでもなく、山子の妄想による展開である。
まともに受け止めてはいけな……え?「そんな人いません」?それもそうか。
かくして、遂に準決勝戦の時間が来た。
Bブロックの覇者となり、決勝戦に進み出るのは山子か………それとも、ラドか。

「んな馬鹿なこと言ってるとほら、試合始まるぞ。」
「頑張ってゃまちゃ!ボク、応援してるからっ!」
「に、にーるちゃ………。うん、山子がんばる!超がんばる!
ラドなんて再起不能のけっちょんけちょんにするから!安心して!」

「……ぇ、ぇぇと……。出来れば、お手柔らかに……。」

とりあえず、山子の応援をしているグライヴと二ィル。
が、山子の対戦者が旧知のラドであるということもあり、心から応援できないのが現状だ。
……と言うか、勝敗云々よりもラドの進退が不安で仕方無い。さもあらん。

「おっと、もう時間だぜ!山子は行かなきゃならねぇ……。
待っててくれ、嬢ちゃん。勝利と言う手土産を持って、帰って来るからよ……!」


かくして、山子は格好良く闘技の場へと出て行くのであった。

「……えーっと、はーどぼいるど……?」
「本人はそのつもりなんだろうな……。」

………まぁ中身がアレなので、正直なんだかなぁと言った感じだったのは言うまでもない。

×××××

『皆様お待たせいたしました!準決勝、第一試合が間もなく始まります!
片やエルフなのに近接の方が得意な戦士、疾風のラド!
片や此処まで猿の被りものをして、その素性は一切不明な謎の女戦士!
一部じゃあれは本当に女かと囁かれてますが、とりあえず本人がそう言ってるので女です!』
「こらそこ実況おおおぉ!!」

かくして試合場に進み出た山子を待っていたのは、微妙な実況だった。
が、文句は言えまい。普段の行いと言うやつである。
寧ろ今も被り物を被ってる時点で、まぁ何も言えないだろう。さもあらん。

「全く、この山子を一体何だと思ってるんだか。
まぁいいや。とりあえず、ラドをぶん殴るのが今回の目的だしな!」

「……な、何か殺気が……。いや、戦うんだから当たり前だけど!」
『それではお二方、そして観客の皆様!準備はよろしいでしょうか!
―――シャラノワール杯、準決勝戦第一試合………開始!!』

実況が開幕を告げ、そしてその瞬間に湧き上がる歓声。
だが、戦の場に居る二人に、その歓声は耳に入らない。

まず先に手を打ったのは、ラドの方だった。
いきなり突進で山子に突撃し、怯んだ一瞬の隙を突いて片手剣での攻撃を繰り出す。
しかし山子もその一手を受けた次の瞬間、どかんと一発爆弾を落とした。

「~~~っ!」

そしてラドを自分から離れさせたところで、両手剣を構えて果敢に走る。
そのまま的確に狙いを定めてスマッシュを打ち込み、ラドを弾き飛ばす山子。

「よし、手応えアリ……!」
「真正面から行っても敵わない、か……!」

スマで弾き飛ばしたラドは、片手剣と盾を弓矢に持ち替える。
そうして、有無を言わさずその場から、山子をちくちくと撃ち始める。

「っ……!近接キャラだと思ってたのに、弓も出来るんかい……!」
「そりゃ一応、護衛としての必須訓練なもんで!
悪いけど、このまま遠距離から攻めさせてもらうぜ!」

「っと、あっぶね!」

その矢をぐるぐると前転しながら回避し、射程範囲外まで逃げる山子。
距離はとった。ここなら矢は届かない……が、こちらからも攻撃は出来ない。
しかし、こんなところで行き詰る山子ではない。

「――こんな時の為に、この剣があるんだとも!」
「?それは……。」

「……証の剣か。そういやまだ、使ってるとこ見たことないな。」
「そぅぃぇばそぅだね……。」

あの廃坑道で引き抜いた証の剣、碧の賢帝と紅の暴君を構える。
見たところは、単なる碧と紅の剣だ。だが、異常な魔力が保持されているのを感じる。
どんな能力があるかは分からない。けれど―――

「“行け”って言ってるんだよね、この剣どもが……!
当たって砕けるのは山子の専売特許、いくぜラド!!」


脳裏に響く謎の声に従って、射程範囲の外から中へと飛び込んだ!

「何だかよくわかんねーけど、チャンスか……!
こっちに届く前に打ち落とせば、オレの勝ちだしな……!」


懐に届く前に決着をつける。そう思い、ラドは矢継ぎ早に攻撃を繰り出す。
しかしその矢は山子に命中しているにも関わらず、対した威力を生まない。
ノックバックも無し、いわゆるカキーン状態である。鋼体って恐ろしい。

「っ……!なんで効かねぇっ……!」
「あたぼうよ、山子のにーるちゃんへの愛は止められん!
さぁ覚悟はいいか、積もりに積もった恨みの数々、今此処で晴らす!
―――“抜剣覚醒”!山子に力を寄越しやがれ魔剣ども―――!」



そして、世界が煌めいた。


「……いや、うん、そうなんだけどね……?」
「どーしたん、こーちゃん?」
「いや、確かにあの剣の分類は魔剣なんだけど……。
……勇者が使う以上、聖剣て言った方がいいんじゃないかと思って。」

「……あー……。」

観客席の片隅でそんな会話が交わされていたが、そんなことはさておき。

「……ふぅ!うん、こりゃいい。行くぜラド、受けてみろ!」
「ぉ……?って、うわっ!?」

閃光が消え去った場には、その身を白く輝かせた女が一人。
色合い的には、半神化的な感じである。
………だが、言わせてもらおう。猿の被り物のせいで色々と台無しである。
だがそんな被り物を被った山子が大好きだ、と作者は主張しておく。(←

「せーのっ、殺劇舞荒剣!」
「……って、それ作品違う―――!!

………そして、抜剣して力を得た山子の必殺技で、勝負は決まったのであった。




Next Story...Act 23 「勇者と賢者(そして、)」


×××××

用語解説 その4

『殺劇舞荒剣』と書いて「さつげきぶこうけん」と読む。
言わずと知れた765Talesの秘奥義の一つ。剣が拳の時もある。さつげきぶこーけん。
勿論間違いなく、サモナイの武器で繰り出す技ではない。まさに作品違い。
しかしAVANTI戦記(仮)は何でもアリなので、この際もう気にしないこと。

ちなみに書き忘れたが、件の剣は体力が0にならなくても任意で発動可能。
ただしカルマ値は上がる。やっぱり+3。100になるとバッドエンド確定。
今回の話で山子のカルマ値は上がった。勇者の証の剣なのに何故か上がる。
理由はまぁ言わなくとも分かるだろう。そう、勇者があんなだからである。

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