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Act 20 「幼馴染と家出少女」


「………で、何だっけ。わたしのにぃるちゃんに触れた大犯罪者を始末するんだっけ?」
「違う。全力で違う。」
「ゃ、ゃまちゃ、落ち着ぃて!ラドはボクの幼馴染なんだってばっ!」
「うん聞いた。だが許さん。にるちゃんと幼馴染なのが何で山子じゃないの。
「わー理不尽。悪いのラド君じゃないのになー。」
「俺どーなんだ………。」

さて、現在地は姫の店。
山子に投擲スキル(人間用)で一発KOを喰らったラドは、そのまま気絶した。
しかし二ィルの幼馴染でもある彼を、そのまま路上に放置するわけにもいかない。
なので仕方なく姫の店に運んだのだ。勿論運んだのはグライヴである。山子は一切手助けしていない。

「大体なぁ、二ィルが出てかなかったら俺だってわざわざウルラに来なかった。
つまり非は全面的に二ィルにあって俺にはない!」

「女の子に罪押し付けんなこの腑抜けがぁーっ!」
「ぐほぁっ!?」
「ら、ラドーっ!?」

▼会心の 一撃!

「あー………。大丈夫か?」
「な、んと、か………。」
「ふんっ、我が愛しのにぃるちゃんを侮辱するほうが悪いわ!」

そしてラドの言い分を聞き始めたのだが、そんなことを受け入れる山子ではなく。
ラドが発言するその度、アタック・スマッシュ・ウィンドミルの山である。………哀れ、ラド。

「それは分かった。けど、話進まないからちょっと山子は黙っとこうか。」
「ヤダ。にぃるちゃんに文句言う奴は全部ぶっとばs」
「借金増えても良いならやるといいよ^^」
「すいませんでした許してくだせぇお代官様。」
「分かればそれで良し。」

そんなこんなで話が一向に進まないので、主導権を姫キララが奪ったのであった。

「で、えーと?どこまで話したんだっけか。」
「ラドが澪の御子の護衛兵士だ、ってとこまで。」
「それだ。」

そしてようやく話は本題に戻る。
―――ラドは二ィルの幼馴染で、澪の御子の護衛兵士だという。
故に守るべき対象である澪の二ィルを追って、このウルラまで来たのだと。

「大体、御子姫その役目放り投げるとかどういう神経してんだよ!」
「ぅるさぃょラドっ!大体っ、昔はみぃちゃんに散々期待してたくせに!
なのに本物がボクだからって、ぁっさり鞍替えするなんて最低っ!」

「っ!………仕方ないだろ、本物しかフィリアを救えねぇんだから!
それになぁ、メタファリカさえ謳えばお前だってお役御免だろ!
堂々とフィリアだって旅立てるんだ、謳ってから行けばよかっただろ!」

「じゃぁ聞くけど、ぃつになったらメタファリカを謳ぇるの!?」
「なっ………!」
「みぃちゃんは凄く期待されたけど、まだ時期じゃなぃって言われてずっと謳ぇなかった!
だけど何年も何年も待って力つけて、謳って、失敗して………!
それで本当の澪はボクだって言われたけどっ、ボクが成功する可能性なんてぁるの!?
澪じゃなくてもぁれだけ凄い力を持ってたみぃちゃんも、ぃっぱぃ勉強して何年もかかった。
でも澪の勉強なんてしてなぃボクは、今からやったら何十年かかるの!?
本物なんだから謳ってから出てけとか言われても、困るんだょ!
そんなの待ってたら、みぃちゃんが遠くにぃっちゃってもぅ帰ってこなくなっちゃう!」

「そ、それは………って、違うだろそれは!
そもそもメタファリカを成功させられるのは本物だけ。お前がやれば絶対できるんだよ!
第一、お前は勉強なんてしなくても今だって十分詩は謳えてるだろーが!」

「普通の詩とメタファリカは違ぅって、散々ボクに言ったのはラドでしょーっ!」

ちなみに二ィル・ラド・mishiaの三人は同い年で、全員幼馴染らしい。
それ故に、かつて澪として扱われていたmishiaの護衛にラドは抜擢されたそうだ。
だが真実が明るみになり、護衛対象が二ィルに変わった。
………とは言え、昔からの幼馴染感覚が一向に抜けず、この通り延々と言い争いをする有様である。

「ぁぁ、もぅ!兎に角、ボクは帰らなぃからね!
どぅせ今帰ったって、メタファリカを謳うどころか歌詞だって教えてもらぇなぃんだから!」

「そりゃ、メタファリカの歌詞は秘中の秘から仕方ねぇだろ!」
「でもみぃちゃんは知ってるじゃんか!」
「そりゃ一度謳ったからだろ!謳う本人が知らなきゃ意味ねーだろうが!」
「だったらその謳う本人のボクはぃつ教えてもらえるの!?」
「そ、それは………。長老様にでも聞いてみろよ!」
「聞ぃたけど教えてもらぇなかったもんー!!」

ぎゃんぎゃんぎゃんぎゃん。………最早言い争いと言うより、ただの口喧嘩になっていた。
あーあ、とその状況を見守るグライヴと姫キララ。ラドに殺気を送る山子。
が。そこで姫が「ん?」と首をかしげた。………そう、確か。

「ラド。ちょっと今思い出したんだけどさ。」
「何が?」
「ラドって確か、シャラノワール杯の本戦出場権もってなかった?」
「………ああ、何となく腕試しで予選出たら、そんなのも貰ったな。」
「じゃあそれでいいじゃん。………山子、にるちゃん、グラ君、ラド。」
ん?
「シャラノワール杯本戦で、ラドが優勝したらにるちゃんは大人しくフィリアに帰る。
んで、山子以下3人が優勝したらにるちゃんはこのままウルラに残留。これで良し!」


間。

「………え、ちょい待ち。俺の条件不利じゃねーか!?」
「そこは一人でにるちゃん連れ戻しに来たラドの落ち度、ってことで。
って言うか本戦はトーナメントだから、最悪当たるのは誰か一人ってこともありうるし。」

「そりゃそうだけど………。」
「………えーっと。つまり公衆の面前でラドを殴れるってことでおっけ?」
「そゆこと。」
「分かった山子がんばるね!」
「………って、嘘だろ!?マジでそーなんのー!?」
「………ボク、賞品扱ぃ………?」

………かくして。
山子の借金をなんとかするべく出場したシャラノワール杯。
それは何でかしらんが、二ィルの進退もかかることになったのであった。


「………ちなみに姫。誰も優勝できなかった場合はどうなる?」
「皆仲良く店で働け。」
え゛。




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