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Act 12 「2人の少女(因果を謳う。)」


2人のエルフの少女が、バンホールで対峙する。
しばらく2人は見つめ合い―――そして、mishiaが先に口を開いた。

「………何でこんなとこにいるの?にーる。
にーるは“澪”なんだから、フィリアに居るべきでしょ?」

「そ、それは………。ぅぅん、そぅじゃなぃ!
ボクは、みぃちゃんを迎えに来たの!一緒に………一緒に、フィリアに帰ろう!」

「なっ………。にーる、それ本気で言ってるの!?」
「勿論だょ!ボクはその為に、ウルラに来たんだから!」
「あ………。」

目を見開き、何かを言いたげに口をぱくぱくと開閉するmishia。
だが、しばらくの後には皮肉っぽい表情を作り、

「あ………あっきれた!にーるって、ホントバカだよね!
みぃがフィリアに帰る?そんなの、できるわけないでしょ!」

「で、でもボクはみぃちゃんが居なぃと嫌なの!
みぃちゃんが居ないフィリアなんて、ボク、救わないから!」

「そ、そこまで言うのっ?………まぁ、そういうことなら………いやいや!
もう決めたの!みぃは絶対、あんなとこには帰らない!
だからにーるは大人しく、フィリアに帰って謳えばいいの!
みぃは魔帝国の小悪魔。この世界を変える、新しい御子になるんだから!」

「みぃちゃんっ………!」

―――話の内容から察するに、二ィルはmishiaをフィリアに連れて帰りたいらしい。
しかしそのmishiaの方はと言えば、全く帰る気は無さそうだ。

「………とりあえず、誰か山子にも分かるように説明ぷりーず………。」

………が、その辺りのことをよく分かってない外道勇者が一人。
しかし今のところ彼女の出番は全く無い為、今は放っておくことにする。

「なら………!なら、力ずくでも、ボクはみぃちゃんを連れて帰る!!」
「なっ………!」
「みぃちゃんが決めたよぅに、ボクも決めてるの!
フィリアに帰る時は、みぃちゃんも一緒って。そうじゃなきゃ、帰らないって!!

jYEzEtYA...
   (実行します)
lAnEcEaA wAwYAjEnYEc syec sphilar...
   (繋がって、共鳴して、心の奥深くまで)

cEzE yor li yanje!
   (貴方の変化こそ永遠に!)

「………!本気、なんだ………!」

詩を謳い始める二ィルを見て、その本気の度合いを認識したmishia。
そうして、目を瞑り………しばらくの後、その瞳を開いて。

「でも、みぃだって生半可な気持ちで魔帝国に居るわけじゃない!
だってもう………みぃには、フィリアに居場所なんて無いんだから!!

tYErEmN...
   (実現して)
lYAnYEcYEaA wYAwLYAjYEnLYEc ar ciel,ar, ciel,omnis.
   (繋がって、共鳴して、世界を、世界を、全てを)

hYEmEmArYE... et!
   (謳って… 大きく!)」


そうしてmishiaも、同じように詩を謳いだす。
その詩は、二ィルと全く同じ旋律だけれども………所々が、違う。

「紅い血滾り こころ焦がす焔気の 唇の雫掬い取り 魂溶け結う為に」
「紅い血滾り こころ焦がす焔気の 唇の雫掬い取り 魂溶け結う為に」

「日の光降り注ぐ 空を翔けよ 共に 愛の  比翼を羽ばたかせ」
「Ah- 月の輝石の 海よ 艫に 波を奏で 帆を羽ばたかせ」

天上を駆け舞う、絆の旋律………それは―――!

「耀ける受胎の子を結ふ 血潮の讃歌」
「耀ける受胎の 母と  血潮の讃歌」

「Ah-囁き重ね織りなす和  一つの宇宙観になる」
「Ah-囁き重ね織りなす君と とつの宇宙観になる」

「深く絡む糸は   忘れ難き ヒトの詩」
「深く絡む遺伝子は Ah-絆の  ヒトの詩」


Wee yea ra hymme spiritum...
   (魂を謳います………)


―――詩が終わった、次の瞬間。

「わっ………!」
「くっ………!」
「ぎゃー!?」

互いに共鳴するかのように詩はぶつかり合い、弾ける。
それは先程、mishiaが為した以上の効果を生んだ。

「………や、山子一応主人公なのに………がくり。」

で、その被害に思いっきりあったのが、出番の全く無い我等が一応主人公の山子。
丸こげにこそならなかったが、ものの見事に吹っ飛ばされたのでありました。

―――そして、その効果を作りだした張本人たちはと言えば。

「ぅ、ぅぅっ………!」
「………み、みぃの勝ちだよ………っ!
そりゃそうだよね、だってにーるの詩なんて、所詮は付け焼刃だもん!」


―――同じ詩を謳ったにも関わらず、二ィルはmishiaの詩に押し負けた。
それは即ち、勝者と敗者を分ける事象に他ならない。

「………ま、待ってみぃちゃ………!」
「………~~~っ!し………しつこいよ、にーる!」

だがそれでも。
二ィルは地べたに這い蹲りながら、mishiaを引き止めようとする。

「こ、これに懲りたら、フィリアに帰って“新緑の大地”を創ったら!?
どうせにーるが出来ることなんて、それしかないんだからっ………!」

「あっ………!」

―――そうして。
mishiaは二ィルを振り切って、バンホから去って行った。

「みぃ、ちゃん………。みぃちゃんっ………!」

―――二ィルの悲痛な叫びは、mishiaには届かない。



Next Story...Act 13 「賢帝と暴君、証の剣」


×××××

今回、本文中に用いた曲
「謳う丘~Harmonics FRELIA~」(うたうおか ハーモニクス・フレリア)
出典:アルトネリコ2、歌手:志方 あきこ

謳う丘~Harmonics FRELIA~を聴いてみる(You Tube リンク)
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