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Act 8 「平原疾走(さぁ走れ!!)」


行き先をバンホに定め、旅を続ける山子と二ィル。
ちなみに、現在地はセンマイ平原の東側………なのだが。

「ゃまちゃのバカーっ!!どぅして白ヒグマの群れに突撃するのーっ!」
「いやほら!お宝ドロップしないかなー、と思って!」

………白ヒグマの大群に、追いかけられていた。
ちなみに理由はあえて語るまい。と言うか、察して欲しい。

「ええい、幾ら蹴散らしても次から次へと!
………ってヤバ!にぃるちゃん、矢はまだある!?」

「正直言って、残り少なぃょ!」
「おっけ、じゃあ一回ミルっとく!援護ヨロシク!」
「ぅん!」

が、追いかけっこは人間やエルフよりクマの方が圧倒的に有利。
その為、弓矢で敵を牽制しつつ走っていた。

しかしそれでも、数が多すぎる。
2人共マハで矢を補充していない為、残りの矢があまり無い。

「………あ、やべ。」
「ぇ、どぅしたのゃまちゃ?」
「山子、矢もない上に剣も耐久限界だ\(^O^)/」
「ぇえ!?」

………そして此処に来て発覚する、剣の耐久不足。
マビではよくある話ではあるが、こういう状況だと洒落にならない。

「ええい、こうなれば最終兵器を使うしかあるまい!」
「さ、最終兵器………!?」
「うむ!見よ、山子必殺の最終兵器………!」

そう言って山子は―――180度反転して、

「三十六計逃げるが勝ちー!!」
「えぇー!?」

クマの大群を背にして、脱兎で逃げた。
二ィルを一緒に連れて逃げるのも忘れていないチャッカリ具合である。

「む、ムリだょゃまちゃ!すぐに追いつかれるょ!」
「そこはほら、マビのシステムに抗う勢いで!」
「絶対ムリーっ!?」

………本人達は至極真面目なのだが、傍から見ると完全に漫才である。

嗚呼、此処に賢者ことグライヴがいないのが悔やまれる。
彼が居たら、そりゃあもう素晴らしいツッコミを披露してくれただろうに。

―――と、その時。

「そこの2人、3秒数えて左右に跳べ!」
!?

突然、何処からともなく声が聞こえた。
何処から発せられた声なのか気になるが―――その前に、3秒過ぎる。

互いに、左右に跳ぶ!!

「―――偽・螺旋剣。

左右に避けた互いの間―――即ち、先程まで2人が居た場所。
そこに、“矢”として打ち込まれたであろう“剣”が突き刺さる。

そして次の瞬間、―――眩い閃光が、世界を覆う。

「っ………!!」
「わわっ………!」

閃光と共に轟音も鳴り響き、しばし平原は土煙が立ち込める。
そしてそれが晴れる頃には既に、平原には3つの人影以外に生物の姿はない。

「んー、貰ったはいいけど微妙だなコレ………。
ま、いいか。所詮は単なる“おもちゃ”なんだし………。」


そうして、その人影の内の1つが動いた。
―――山子と二ィルに、横に跳べと指示した声の主だ。

「な、何かよく分からんが助かった!」
「ぅ、ぅん!ありがとう!」
「お礼を言われるようなことはしてないけどな。
貰い物の試運転も兼ねてたわけだから………。」

「ふーん?………えーっと、ところでおたく、どちら様?」
「人のこと聞く時は、まず自分からってのが王道だよな?」
「む。そりゃ確かに、それが王道っちゃ王道だけど。
………わたしは山子。で、こっちの可愛いエルフがにぃるちゃんね。」

「ゃ、ゃまちゃ!そぅいう紹介の仕方は………!」
「事実を言ったまで!にぃるちゃんは可愛い!!
「ふ、ふええぇえ!?」

最早、この辺りのことに関しては誰も突っ込むまい。

「なるほど。“山子”に“二ィル”、ね………。
おっけ。名前、しかと聞き届けた。じゃあ次は、オレのことだな。

オレは綾徒。―――それなりに名の通った、情報屋をやってる。」



そうして、山子と二ィルは情報屋の綾徒は知り合った。
………はいそこ、色んな意味でロクな会い方じゃねーなとか言わないの!




Next Story...Act 9 「守銭奴=情報屋?」


×××××

用語解説 その2

「偽・螺旋剣」と書いて「カラドボルグ」と読む。
元々はアルスター伝説の「名剣カラドボルグ」が原典である。
が、今回の「偽・螺旋剣」は『Fate/stay night』なるゲームが出典。
つまりアレ。ゲーム内に出てくる武器=神話の神々の武器の名前とかそんなノリ。
分かりやすく言うと、エクスカリバーとか草薙の剣とかロンギヌスの槍とか。

ちなみに本編中でもちょっと書いたが、綾徒はこれを矢として使用している。
前述のゲームでも、使い方は完全に矢である。
………一応、剣のはずなんだが。

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