AVANTIギルドブログです
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Act 5 「幽けき深淵の底」
………で、地下牢に入れられた山子とグライヴであったが。
「さて、にぃちゃん。早速だけど脱獄すっぞ!」
「………うん、言うと思った。で、一応聞くけどどうやって?」
「力ずく。」
「………ですよねー。」
が、約1名………この場合は2人共、にしておくが。
2人共、大人しく捕まっていられるような殊勝な人間ではなかった。
「でもな、ねぇちゃん。期待を砕くようで悪いけど、はっきり言うぞ?」
「なんだよ、にぃちゃん。」
「この牢な、魔王様の特別製。ありとあらゆる攻撃が無効化される。」
「………ってことは、スキルとか全部ムダ?」
「そう。単なるマナやスタミナの無駄遣い。」
「………なんで牢屋に、そんなムダなまでの能力ついてんの。」
「ああ、此処ってオレ専用の独房だから。」
「………ごめんにぃちゃん、それツッコむとこだよな?」
ツッコむところです。 (by天の声)
グライヴは、毎回何をして此処に入れられているのやら。
「………とは言え、年中入ってるから抜け穴作ってあったりするんだけど。」
「それを先に言っとけよ。」
全くである。引っ張った割には、お約束のオチである。
そして2人はこっそりと、床に掘られた抜け穴へと潜り、牢屋を脱出する。
「………おー、中々広いな抜け穴。
てゆーか、にぃちゃん、どんだけこの牢屋入ってるのさ………。」
「週に3,4回ぐらい?」
「………いやうん、わたし何だかにぃちゃんのこと分かんなくなってきた。」
「ハハハ………。」
哀切の眼差しを送る山子であった。
「………で、にぃちゃん。これ、何処繋がってるの?」
「ん、さっきのオレの部屋。」
「ふむふむ。で、ニルちゃんは何処に?」
「何処って言われてもオレが知るわけないじゃん。
まぁでも、多分………今頃ニルちゃんと魔王様は、魔王様の私室かな。」
「こーちゃんの部屋って何処にあんの?」
「魔王様の部屋は、丁度最上階に………って、ねぇちゃん?
今、魔王様のこと“こーちゃん”て言わなかったか………?」
「え?言ったけどそれが何か?」
「………いや、うん。すげーな、ねぇちゃん………。」
一応でも勇者たる山子の手にかかれば、魔王 輝二も“こーちゃん”になるのでした。
………何だか色々と台無しである。
「………お、ホントだ。さっきのにぃちゃんの部屋だ。
で、部屋から出て最上階目指せばいいの?」
「ああ。部屋出てすぐ右手に階段がある。
で、それを上がって行けば、魔王様の私室に着く。」
「よっし。待っててにーるちゃん、今山子が助けてあげるから!!」
「………ねぇちゃんより魔王様の方が、ニルちゃんへの扱い良さそうだけど。」
「そこ、何か言っ………。………あれ?」
抜け穴を踏破し、グライヴの私室へと戻ってきた2人。
そして部屋から出ようと、扉の近くまで歩いたその時だった。
「xA ―― e―i ――― w―r――― ――haela/.」
「………歌?」
「歌、だな………。」
階上から、歌が聞こえてきた。しかも―――
「………この声、にぃるちゃんだよね?」
「ああ、ニルちゃんだな。………しかもこれ、ヒュムノスだな。」
「xA ―― ―YEuk ―― l.l.― ―― aje har――.」
歌っているのは、どうやら二ィルのようだ。………ところで。
「えーと、ひゅむのすってナニ?」
「え?ああ、ねぇちゃん知らないのか………。」
とまぁ、ある意味当然と言えば当然の質問をした。
そしてその質問を受けて、グライヴは簡単に答えた。
『ヒュムノス』とは、一種の魔法である。
ごく一部のエルフ族と、その血をひく者が紡ぐことの出来る『詩魔法』。
そしてその効果は、敵を攻撃することや傷を癒すことは無論のこと。
上位の詩になれば、大陸を紡げるとさえ言われている。
「ぶっちゃけ魔王様もその系譜だしな。
まぁ、血が薄すぎて詩の効果はほとんど出ないらしいけど。」
「へー………。でもわたし、今までひゅむのすとか知らなかったよ?」
「元々、ほとんど廃れちまった一族らしいしな。
ただ、何年だか前に“聖女”が生まれたんだと。
そのおかげで、その一族がようやく陽の目を見たんだとさ。」
「ふーん。じゃあ、にぃるちゃんはその一族ってこと?」
「謳ってるってことは、そうなんだろ。」
「花―散じ 朱に染――指― ――飾― 棘を編んで
私――― ―罪―しるし 茨の蔓の冠 戴く………」
ちょっとだけ、二ィルの詩に聞き入る山子。
が、しばらく聞いた後、ハッとした表情を浮かべてあわて出す。
「待って待って、なんでわざわざにぃるちゃんが謳ってるの!?
………ま、まさかこーちゃんが
『げっへっへ、売り飛ばされたくなかったら私の為に一生謳って貰おうか!』
って言って、
『ゃだゃだこーちゃんやめてー!』
ってにぃるちゃんが涙をいっぱい浮かべながら謳わされてるんじゃなかろうな!?
いかん、こーしちゃいられない!………にぃちゃん!」
「………女2人で片方がエルフ、そしてそのエルフは………。
そうだ、アレにはそう書いてあった………じゃあ、二ルちゃんはまさか………。」
「………おい、にぃちゃん?」
「――胸の中 溢―― 光 舞――― 祈り――は 耀う―――」
「ああ、そうだ………。それしか有り得ない………。
―――この歌声を、この俺が違えるわけが―――」
「に・い・ちゃ・ん!!」
「おおうっ!?な、なんだよねぇちゃん、脅かすなよ!」
「ぶつぶつとなにやら呟いてる不審者なにぃちゃんが悪い!」
「不審者………。」
「まぁいい!んなことより、行くぞにぃちゃん!
このままではわたしのにぃるちゃんが、一生謳わされ続けてしまう!!」
「え?一生って………悪い、何の話?」
「(無視)さぁ行くぞ!!」
猛ダッシュだった。
………完全にグライヴのことを置き去りに、山子は部屋を飛び出していった。
「ちょっと待って、ねぇちゃーん!!」
「:/ xO rre qeiyu m.t.y.y. anw daedul.」
(『人は生命在る限り 醜い物ばかりを産み落とす)
バタバタと、騒がしく階段を駆け上がる山子。
そしてそれを必死に追いかけるグライヴ。………うむ、微妙な光景だ。
「Naave wEsLYN ayulsa sphaela/.」
(故に恐れや不幸の無い永遠の世界を創り上げた)
「さ、流石にノンストップで階段駆け上がるのはきつかった………。
いや、そんなことより!にぃちゃん、此処がこーちゃんの部屋だよな!?
中からにぃるちゃんの歌声聞こえるし!寧ろ違うって言ったらぶん殴る!」
「理不尽っ!?いやでも、確かにそこが魔王様の部屋だけど!」
「ならば良し!おっし………。」
階段を上りきり、最上階の部屋の扉の前で深呼吸をする山子。
………そして。
「にぃるちゃんの歌声を独り占めなんて、ずるいぞこーちゃああぁん!!
どうせだったら、わたしも混ぜてー!!」
「本音でたー!?」
「xE rre vega a.u.k. ayulsa Asiance_qeiyu/:」
(此処こそが楽園 そして人の目指すべき唯一の希望の地』)
………盛大に本音を叫びつつ、部屋の扉を蹴破った。
Next Story...Act 6 「質疑応答(あの子は何処?)」
×××××
用語解説 その1
『ヒュムノス』
PS2及び3のゲームソフト、「アルトネリコ」シリーズに出てくる。
本編中で語ったとおり、要約すれば『詩魔法』。
攻撃から治療、そして大陸の創造など、幅広いバリエーションの詩がある。
ちなみに詩は“ヒュムノス語”なるものから形成されている。
要するに、詩の中に並んでいるアルファベットの羅列は『ヒュムノス語』。
別に何処かの国の言葉、と言うわけではない。
んでもって、その羅列の下に書かれた( )の中はそれを訳したもの。
ちなみに今回、本文中に用いた曲は
「METHOD_IMPLANTA/.」(メソッド・インプランタ)
出典:アルトネリコ2、歌手:志方 あきこ
⇒METHOD_IMPLANTA/.を聴いてみる(You tubeリンク)
Act 5 「幽けき深淵の底」
………で、地下牢に入れられた山子とグライヴであったが。
「さて、にぃちゃん。早速だけど脱獄すっぞ!」
「………うん、言うと思った。で、一応聞くけどどうやって?」
「力ずく。」
「………ですよねー。」
が、約1名………この場合は2人共、にしておくが。
2人共、大人しく捕まっていられるような殊勝な人間ではなかった。
「でもな、ねぇちゃん。期待を砕くようで悪いけど、はっきり言うぞ?」
「なんだよ、にぃちゃん。」
「この牢な、魔王様の特別製。ありとあらゆる攻撃が無効化される。」
「………ってことは、スキルとか全部ムダ?」
「そう。単なるマナやスタミナの無駄遣い。」
「………なんで牢屋に、そんなムダなまでの能力ついてんの。」
「ああ、此処ってオレ専用の独房だから。」
「………ごめんにぃちゃん、それツッコむとこだよな?」
ツッコむところです。 (by天の声)
グライヴは、毎回何をして此処に入れられているのやら。
「………とは言え、年中入ってるから抜け穴作ってあったりするんだけど。」
「それを先に言っとけよ。」
全くである。引っ張った割には、お約束のオチである。
そして2人はこっそりと、床に掘られた抜け穴へと潜り、牢屋を脱出する。
「………おー、中々広いな抜け穴。
てゆーか、にぃちゃん、どんだけこの牢屋入ってるのさ………。」
「週に3,4回ぐらい?」
「………いやうん、わたし何だかにぃちゃんのこと分かんなくなってきた。」
「ハハハ………。」
哀切の眼差しを送る山子であった。
「………で、にぃちゃん。これ、何処繋がってるの?」
「ん、さっきのオレの部屋。」
「ふむふむ。で、ニルちゃんは何処に?」
「何処って言われてもオレが知るわけないじゃん。
まぁでも、多分………今頃ニルちゃんと魔王様は、魔王様の私室かな。」
「こーちゃんの部屋って何処にあんの?」
「魔王様の部屋は、丁度最上階に………って、ねぇちゃん?
今、魔王様のこと“こーちゃん”て言わなかったか………?」
「え?言ったけどそれが何か?」
「………いや、うん。すげーな、ねぇちゃん………。」
一応でも勇者たる山子の手にかかれば、魔王 輝二も“こーちゃん”になるのでした。
………何だか色々と台無しである。
「………お、ホントだ。さっきのにぃちゃんの部屋だ。
で、部屋から出て最上階目指せばいいの?」
「ああ。部屋出てすぐ右手に階段がある。
で、それを上がって行けば、魔王様の私室に着く。」
「よっし。待っててにーるちゃん、今山子が助けてあげるから!!」
「………ねぇちゃんより魔王様の方が、ニルちゃんへの扱い良さそうだけど。」
「そこ、何か言っ………。………あれ?」
抜け穴を踏破し、グライヴの私室へと戻ってきた2人。
そして部屋から出ようと、扉の近くまで歩いたその時だった。
「xA ―― e―i ――― w―r――― ――haela/.」
「………歌?」
「歌、だな………。」
階上から、歌が聞こえてきた。しかも―――
「………この声、にぃるちゃんだよね?」
「ああ、ニルちゃんだな。………しかもこれ、ヒュムノスだな。」
「xA ―― ―YEuk ―― l.l.― ―― aje har――.」
歌っているのは、どうやら二ィルのようだ。………ところで。
「えーと、ひゅむのすってナニ?」
「え?ああ、ねぇちゃん知らないのか………。」
とまぁ、ある意味当然と言えば当然の質問をした。
そしてその質問を受けて、グライヴは簡単に答えた。
『ヒュムノス』とは、一種の魔法である。
ごく一部のエルフ族と、その血をひく者が紡ぐことの出来る『詩魔法』。
そしてその効果は、敵を攻撃することや傷を癒すことは無論のこと。
上位の詩になれば、大陸を紡げるとさえ言われている。
「ぶっちゃけ魔王様もその系譜だしな。
まぁ、血が薄すぎて詩の効果はほとんど出ないらしいけど。」
「へー………。でもわたし、今までひゅむのすとか知らなかったよ?」
「元々、ほとんど廃れちまった一族らしいしな。
ただ、何年だか前に“聖女”が生まれたんだと。
そのおかげで、その一族がようやく陽の目を見たんだとさ。」
「ふーん。じゃあ、にぃるちゃんはその一族ってこと?」
「謳ってるってことは、そうなんだろ。」
「花―散じ 朱に染――指― ――飾― 棘を編んで
私――― ―罪―しるし 茨の蔓の冠 戴く………」
ちょっとだけ、二ィルの詩に聞き入る山子。
が、しばらく聞いた後、ハッとした表情を浮かべてあわて出す。
「待って待って、なんでわざわざにぃるちゃんが謳ってるの!?
………ま、まさかこーちゃんが
『げっへっへ、売り飛ばされたくなかったら私の為に一生謳って貰おうか!』
って言って、
『ゃだゃだこーちゃんやめてー!』
ってにぃるちゃんが涙をいっぱい浮かべながら謳わされてるんじゃなかろうな!?
いかん、こーしちゃいられない!………にぃちゃん!」
「………女2人で片方がエルフ、そしてそのエルフは………。
そうだ、アレにはそう書いてあった………じゃあ、二ルちゃんはまさか………。」
「………おい、にぃちゃん?」
「――胸の中 溢―― 光 舞――― 祈り――は 耀う―――」
「ああ、そうだ………。それしか有り得ない………。
―――この歌声を、この俺が違えるわけが―――」
「に・い・ちゃ・ん!!」
「おおうっ!?な、なんだよねぇちゃん、脅かすなよ!」
「ぶつぶつとなにやら呟いてる不審者なにぃちゃんが悪い!」
「不審者………。」
「まぁいい!んなことより、行くぞにぃちゃん!
このままではわたしのにぃるちゃんが、一生謳わされ続けてしまう!!」
「え?一生って………悪い、何の話?」
「(無視)さぁ行くぞ!!」
猛ダッシュだった。
………完全にグライヴのことを置き去りに、山子は部屋を飛び出していった。
「ちょっと待って、ねぇちゃーん!!」
「:/ xO rre qeiyu m.t.y.y. anw daedul.」
(『人は生命在る限り 醜い物ばかりを産み落とす)
バタバタと、騒がしく階段を駆け上がる山子。
そしてそれを必死に追いかけるグライヴ。………うむ、微妙な光景だ。
「Naave wEsLYN ayulsa sphaela/.」
(故に恐れや不幸の無い永遠の世界を創り上げた)
「さ、流石にノンストップで階段駆け上がるのはきつかった………。
いや、そんなことより!にぃちゃん、此処がこーちゃんの部屋だよな!?
中からにぃるちゃんの歌声聞こえるし!寧ろ違うって言ったらぶん殴る!」
「理不尽っ!?いやでも、確かにそこが魔王様の部屋だけど!」
「ならば良し!おっし………。」
階段を上りきり、最上階の部屋の扉の前で深呼吸をする山子。
………そして。
「にぃるちゃんの歌声を独り占めなんて、ずるいぞこーちゃああぁん!!
どうせだったら、わたしも混ぜてー!!」
「本音でたー!?」
「xE rre vega a.u.k. ayulsa Asiance_qeiyu/:」
(此処こそが楽園 そして人の目指すべき唯一の希望の地』)
………盛大に本音を叫びつつ、部屋の扉を蹴破った。
Next Story...Act 6 「質疑応答(あの子は何処?)」
×××××
用語解説 その1
『ヒュムノス』
PS2及び3のゲームソフト、「アルトネリコ」シリーズに出てくる。
本編中で語ったとおり、要約すれば『詩魔法』。
攻撃から治療、そして大陸の創造など、幅広いバリエーションの詩がある。
ちなみに詩は“ヒュムノス語”なるものから形成されている。
要するに、詩の中に並んでいるアルファベットの羅列は『ヒュムノス語』。
別に何処かの国の言葉、と言うわけではない。
んでもって、その羅列の下に書かれた( )の中はそれを訳したもの。
ちなみに今回、本文中に用いた曲は
「METHOD_IMPLANTA/.」(メソッド・インプランタ)
出典:アルトネリコ2、歌手:志方 あきこ
⇒METHOD_IMPLANTA/.を聴いてみる(You tubeリンク)
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