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*****

Act 3 「街と光輝と魔王様」


さて、そんなこんなで。
無事に兵士達を振り切った3人は、イメンマハの街に辿り着いた。
辿り着いた………の、だが………。

「最悪だ………。何で戻って来る羽目に………。」
「グラくん………。え、えっとほら!これはァレだよ!
逃げ出したように見せて、実はまだ近くに隠れてました、って!
えっと………木を隠すには森の中、人を隠すなら人の中だよ!!」

「ありがとニルちゃん………。
でもねぇちゃんがオレ引きずってマハに来たの、バッチリ見られてるし………。
それを魔王に報告しない程、此処の兵士無能じゃないんだよなぁ………。」

「あわわ………!」

落ちるとこまで落ち込みまくってる人間が一人。
あ、何か負のオーラが見える。呪いに近いよーな気がするよ?
………とか何とか、二ィルが思ったかどうかはさておき。

そんな2人、特に落ち込むグライヴを意にもかけない者1人。
何やら呆然と眺めているのが………既に外道な勇者山子である。

「………なあ、にぃちゃん。」
「はああぁぁぁ………。」
「ええい鬱陶しいぞにぃちゃん。そんなことより、聞きたいことあんだけど。」
「そんなこと………。オレの切実な事情は゛そんなこと”なのか………。」
「でさ、聞いていい?………此処、ホントにマハ?」

………最早、何も言うまい。

「………あーそうだよ!此処はマハだよマハです!
我等が魔王様が統治する、『光輝都市』イメンマハですよ!」

………“光輝都市”?

『光輝都市 イメンマハ』。
これがかつてのゴーストタウンとか、過疎都市とか………。
そんな呼び方をされていた、活気に満ち溢れたこの街の今の名前である。

「………何をどうすれば、あのゴーストタウンがこーなる?」
「魔王様の政策。あの人、性格には凄まじく難があるけど………。
マハの事に関しては、他の追随を許さない程に詳しいからな。
1つ1つ細かい問題点を解決して言って………で、今のマハを形成したわけだ。」

「………おうおう、何だかすげーな魔王。
ぶっちゃけマハとか、昔以上に過疎ってると思ってたぜわたし。」

「うん、ボクもそうだと思ってた………。」

2人の言葉も、仕方あるまい。
何せ以前までのマハに人が集まると言えば、公式イベントがある時ぐらい。
それか、某鳥の袂でと名のついた演奏会とか、そんなものである。
が、今は「え、過疎ってたの?嘘でしょ?」と逆に問わんばかりの栄えっぷりだ。

「………で、にぃちゃんよ。その魔王は、やっぱ城にいるわけ?」
「え?ああ、そりゃ城にいるけど………待て、ねぇちゃん。
まさかとは思うが、魔王に会いに行くとか言わねないよな?」

「言うに決まってんぢゃん。そもそも、魔王に会いにマハ来たんだし。」
「ぇ、やまちゃも魔王に会いに来たの………?」
「ん?“も”ってことは、まさかにぃるちゃんもそーだったり?」
「うんっ。魔王に聞きたいことがあって、それで………。」
「え、マジ?わたしも魔王に聞きたいことあったんだよね!」

此処に来て、2人の目的が見事に一致していたことが判明した。
嬉しさからか、きゃいきゃいと話す2人。………で。

「………ねぇちゃん、この肩に置いた手は一体………?」
「実は私、お城の場所すっかり忘れちゃったんだよねぇ。
それに真正面から行っても、簡単には魔王になんて会えなさそうだし?」

「ハハハ、何言ってんだよねぇちゃん。
魔王様は正式な謁見手順を踏めば、誰とだって会ってくれるぜ?
寧ろ市街に年中遊びに出てきてるし、わざわざ行く必要は無………。」

「正式な謁見手順なんて踏むのめんどいし、街広いから会える確立低いよね?」
「………なぁ、ねぇちゃん。この際だから単刀直入に聞くぜ?
まさかオレを魔王様に突き出すついでに謁見するーとか、考えてないよな?」

「やだなぁにぃちゃん。道案内してもらうだけだよ!」
「いやそんな笑い勝たされても説得力ねぇからな!?
つーかお願いねぇちゃん、マジでその手離してー!!」


ぎゃあぎゃあと街中で問答を続ける2人。………うむ、浮きまくりだ。
すると成り行きを見守っていた二ィルが、何かを決意したかのような表情を見せた。
そして、ゆっくりと口を開いた。

「グラくんっ、グラくんが嫌なのは分かってるよ。でも………。
お願いっ、ボクとやまちゃをお城に連れてって!!」

「え?」
「え、にぃるちゃん………?」
「ボク、どうしてもお城に行って魔王に会わなきゃいけないの!
グラくんには絶対迷惑かけない!お城まで行ったら、後は自分で何とかする!
だからお願いッ、お城まで、連れてって………!!」


深々と頭を下げる二ィル。
………延々と言い合っていた2人も、これには吃驚である。
無言で互いの顔を見合わせているくらいだ。

「………あれ?ちょっと待てよ………?
確か“アレ”には、女2人で片方がエルフって………。」



何やら1人、ぶつぶつと呟くグライヴ。傍から見ると若干怪しい。
そしてしばらく思案した後、覚悟を決めたかのように―――

「………分かった、いいよ。
ねぇちゃんは兎も角、ニルちゃんには助けて貰った恩もあるしな。
城まで………城の内部に入る抜け道まで案内する。
た・だ・し!本っ当にそこまでだからな!道案内だけだからな!」

「!! ありがとっ、グラくん!!」
「………ほうほう。にぃちゃん、にぃるちゃんの魅力に落ちたな?」
「………何の話だよ、ねぇちゃん。」

………とりあえず、話はついたようである。
そしてグライヴが、宣言通り城の方へ案内しようとした、その時。


「―――ようやく、話が終わったみたいだね?」



―――周囲の雑音がぷつりと途絶える。
その声だけが、世界に響く。
凛としたその声は、背後から聞こえた。
故に発した主を確かめるべく、3人は後ろを振り向いて―――



全てを焼き尽くすかのような、神々しいまでの光輝を見た。
―――そして、暗転。




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